
(EMI ミュージック・ジャパン TOCE-14038、2007.9.26)
EMI CLASSICS BEST 100 という
廉価版シリーズの1枚です。
先に紹介した青山通の
『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』
に掲げられていた、
『ウルトラセブン』最終回
「史上最大の侵略」後編で使われた
シューマンのピアノ協奏曲 イ短調
作品54が収められたCDです。
(使われたのは第1楽章のみです。念のため)
グリーグのピアノ協奏曲 イ短調 作品16も
カップリングで収められていて
録音年は、グリーグが1947年9月、
シューマンが1948年4月です。
『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』
の、89ページには
満田監督が、最終回の
ダンがアンヌにセブンであることを告げる
あの場面に合う音楽として
グリーグのピアノ協奏曲を考えていたのに
間違えてラフマニノフのピアノ協奏曲を使うよう
冬木透に依頼したというエピソードが
紹介されています。
依頼を受けた冬木が
ラフマニノフに違和感を覚え
シューマンに変えたそうで
青山が冬木にインタビューした時も
ラフマニノフと頼まれたことは覚えている
と言っています。
そして、それだけでなく
グリーグについても話しているのですが
この話を聞き出したのは
青山の功績だったと思います。
監督がグリーグだと考えていたことは
あとで知ったと述べた上で、冬木は
「いい線まで行っているけど、
グリーグでもない。
グリーグは、最初にティンパニが
クレッシェンドで来るところが
少し違うんですね」(p.92)
と言っていて、それがとても興味深い。
というのも
ディヌ・リパッティのレコードが
シューマンとのカップリングで
まさにグリーグのピアノ協奏曲を
収めているからで
ということは
満田監督もこのレコードを
聴いていたんじゃないか
と、想像させるんですよね。
そこが、まず面白い。
で、満田監督はグリーグだと思ったけど
音楽監督の冬木透はシューマンだと思った
という、その違いが
映像と音楽とでの
演出やらなんやらの考え方の違いが出てて
それがさらに面白い、と思うわけです。
実際、グリーグのピアノ協奏曲を聴くと
最初、Drrrrrrr ジャン! というふうに始まるあたり
アンヌがショックを受けるシーンに
ぴったりのような感じがするわけです、素人耳には。
だから、
違うんだ、グリーグじゃないんだ
(もちろんラフマニノフでもなく)
シューマンだろう、と冬木が思った
ということを
それなりに分析すると
ウルトラセブンにおける冬木透論に
なるんじゃないかなあと思ったわけですが
音楽に関しては単なるリスナーで
素人に過ぎない自分には
ちゃんと論じることなどできないのが
ちょっと口惜しかったり。
ここらへんは青山氏に
(別に青山氏でなくてもいいけど
せっかくだから青山氏に)
分析してほしかったなあ、と
今回のCDを聴いて思った次第です。
その意味でも、
シューマンのピアノ協奏曲だけでなく
グリーグのピアノ協奏曲を収めた
今回のCDを買うのが
ベストのような気がします。
ついでに
ラフマニノフのピアノ協奏曲が入っていれば
便利だったんですけど(苦笑)
ちなみにグリーグのピアノ協奏曲、
CMかなんかで聴いたことがある気がします。
それがリパッティの演奏だったかどうかまでは
さすがに分かりませんけどね(苦笑)
リパッティの演奏を聴いたら
最終回の映像が頭の中にパーッと
思い浮かぶかと思ってたら
ほんとにこれなの?
とか思っちゃったのは
我ながら残念でした。
なんか、おとなしい感じがして
音と映像がうまく合ってくれません。
映像の方は
わりと覚えてる(と思う)んですけどね。
これはもう、DVDか何かで
映像を観直さないとダメかもなあ
と思った次第です。
セブンのDVDは
例の欠番(12話)が復活しない限り
買うまい、と考えていたのですが
うーん、どうしようか( ̄▽ ̄)