
(集英社ヤングジャンプ・コミックスGJ、2013.5.22)
第6巻は
「百面相役者」に基づく
「面男(つらおとこ)」、
「双生児」に基づく
「偽男(にせおとこ)」、
そして『黒蜥蜴』に基づく
「明智小五郎×虯女(ほらおんな)」を収録。
映像化はもとより
コミカライズされることも初めてであろう
「百面相役者」ですが
「面男」を読んで
こんな話だったっけ!?
とびっくりして
原作を読み直してみました。
途中まではかなり忠実でしたが
(それもびっくり。こんな話であったか)
ラストは、いかにも乱歩らしい原作から
かけ離れたオリジナルなもので
今風のホラー・ミステリに仕上がってます。
最後にあの男が登場するのには
納得できるようなできないような(苦笑)
「偽男」も、一読後
乱歩の原作を読み直してみたところ
原作にあった指紋の条りを省き
(乱歩のつもりでは
それが書きたかったんでしょうけど)
オチにも変更を加えています。
これはなかなか上手いアレンジで
閨房事に関する不自然さもクリアしてるし
今風なサイコサスペンス風のオチも
なかなか見事でした。
乱歩の原作に基づく映画
『双生児 -GEMINI- 』(1999)を
観ていないのですが
そっちは「偽男」に近いアレンジなのかどうか
ちょっと気になってきました。
「明智小五郎×虯女」は
原作における最初の対決エピソード、
岩瀬早苗誘拐事件の顛末までを描いた
第1~3回分が収録されています。
ようやくコミカライズされた黒蜥蜴は
上の二編と比べると原作に忠実なのですが
(完結するまで読まないと分からないけど【苦笑】)
それにしても、なぜ黒蜥蜴が虯女になるのか?
手許の三省堂漢和辞典によれば
「虯」は「虬(みずち)」の同義語
となってますから
蜥蜴にちなんだものなのでしょうけど
「ほら」という訓は出てませんでした。
ただ、日本大百科全書には
蛇に似て、四足のある想像上の動物で
「ほら」ともいう、とありますから
ここから取ったんでしょうか。
語感が法螺吹き女みたいな感じで
ちょっとどうかと思いますけど。
いずれにせよ、後半が楽しみです。
ちなみに、
オビに「5人の異人さま」とあるのは
面男、偽男、虯女に加え
面男に出てくる「あの男」と
明智小五郎が入ってるからです。
オビの裏表紙側には
「あの男」の正体がバラしてあって
まあ、しょうがないけど残念ですね。
とかいいつつ、
どのエピソードに出てくるのか
という興味もあったのを
当ブログでバラしちゃってるわけですが(^^ゞ
もっとも、原作のタイトルから
見当はつくでしょうから
ご免してください。
あと、「面男」の出だしで
第5巻に入っていた
「地獄の道化師」の正体をバラしていますので
未読の方はご注意。
いきなり第6巻から買う人も
いないでしょうけど
念のため。