
(KKベストセラーズ、2013.4.23)
ベストムックシリーズの97巻で
昨年の9月に同じムックの67巻として出た
『語れ! ウルトラマン』に続く
「語れ!」シリーズの一冊です。
もっとも、「語れ!」シリーズなるものが
形成されているのかどうかは
知らないのですけれど(^^ゞ
KKベストセラーズは
ベスト新書から出た小谷野敦の
『ウルトラマンがいた時代』(2013.4.20)が
ろくな校正者がいないんじゃないか
というくらいの誤植と誤記の多さで
ミソをつけてしまった出版社ですが
『語れ! 仮面ライダー』は
ムックだからといって侮るなかれ
というくらい、読みごたえがありました。
エディターは
『語れ! ウルトラマン』と同じなのに
明らかに熱気が違うと感じるのは
執筆陣の違いかもしれませんし
扱う作品の企業体質の違いかもしれません。
惜しいのは125ページの記事で
写真は明らかに
『仮面ライダーJ』の改造シーンなのに
キャプションが
『仮面ライダーZX』の説明であること。
その他には、さっと読んだかぎりでは
著しいミスは見当たりませんでした。
仮面ライダーV3風見志郎が
大学の体操部に属していて
「マットの白い豹」という異名を持つ
という設定はまったく記憶になく
この年になって初めて
情報としてインプットされました(;^_^A
そのV3の26の秘密が
見開きカラーで紹介されているのは
昔の雑誌の記事みたいで懐かしいし
改めて再確認できて楽しいです。
その手の記事では
カルビースナック仮面ライダーカード
全546枚を3ページに分けて
掲げているのが圧巻。
ライダーカードを紹介する本は
2冊ほど持ってますし
LD-BOXに付いてきた復刻版でなら
異種カードも含めて持ってるわけですけど
1枚1枚は小さな写真ながら
こうして畳の上に並べるかのように
掲げるというアイデアは
何かこちらの心をくすぐるものがあります。
サブライダーをすべてまとめたり
変身ベルトをまとめて紹介したり
昭和・平成のライダーマシンをまとめたり
女性ライダーをまとめたり
平成版のヒロインをまとめたり
等々の記事も、定番ながら便利だし
目を楽しませてくれます。
また、ウルトラ・シリーズにない
特に昭和のライダー・シリーズに顕著な
悪の組織の組織図入りの紹介は壮観で
特にショッカーの紹介では
ナチスの集会の写真がインサートされていて
小さいモノクロ写真ながら
ショッカー首領の声を出す
鷲のエンブレムとの類似性が
よく分かるので、これはナイスでした。
関係者インタビューでは
昭和ライダーの音楽を担当した
菊池俊輔へのものが
興味深かったですね。
仮面ライダー好きという
こちらの思い入れの強さにも
よるのかもしれませんが
『語れ! ウルトラマン』とかいいながら
ウルトラセブンに多くページを割いたものより
昭和・平成にまんべんなく目を配り
ガジェットやキャラクターも含めて
網羅的に楽しませようとする
ライターの熱気と愛がうかがえるという点では
この手のムックとしてはクオリティが高く
「永久保存版」の名に値する出来映えに
なっているのではないかと思います。
ここまでできる版元が
『ウルトラマンがいた時代』のような本を
出しちゃうんだから
分からないものですね。
ひとつ苦言を呈するなら
1号ライダーとV3のみコーティングされて
エンボスっぽくなっているデザインは
カッコいいと思うのですが
コーティング処理なしの黒地は
指紋がつきやすいこと。
これは『語れ! ウルトラマン』もそうでした。
書店で立ち読みした人の指紋がついていると
途端に買う気が失せてしまうので
(少なくとも自分はそうなので)
それに買ってきて読む時にも
指紋がつかないか気になるので
(これまた、少なくとも自分はそうなので)
これは計算違いだったのではないかと
感じた次第です。