
(双葉社 JOUR COMICS、2013年3月15日発行)
雑誌『JOUR すてきな主婦たち』に連載。
(それにしても、すごい誌名だなあ)
副題に「変人探偵エム」とありますが
この副題はなくてもいいなあ(苦笑)
古家具屋のルディアートが巻き込まれる
奇妙な事件を
大学時代?の級友で
万能相談所を開いている
エム・ケルスナーが解決する話で
全7話収録。
表題作は第1話で
古家具を引き取ったついでに
悪魔の枝(サタニック ブランチ)
といわれるものを引き取り
悪魔を召喚してしまったルディが
エムに相談して解決してもらう話です。
自分の魂と引き換えにせずに
悪魔がかなえる願い事を成就する
というパターンの話は
向こうの小説にいっぱいありますが
(あるはずですが……最近は少ないかな?)
「サタニック ブランチ」はそれを踏まえた
いかにも60年代の香りがする
しゃれたアイデア・ストーリーでした。
それと、ルディの婚約者(後の奥さん)
ミッシィを描くタッチが、実に素晴しい。
10ページ下段の右端のコマとか
11ページ下段のコマなんて
こんな少ない線で
なんでこんなに可愛く描けるんだろう
というくらい。達人の域ですね。
第2話の、天井に夜ごと着く足跡の謎とか
ジャック・フィニィばりのアイデアですね。
第7話も、被害者視点で描けば
いつもの坂田ファンタジーなのですが
探偵ものにしたことで
いつもと違う感じなのが面白い。
早川書房が出している
『異色作家短篇集』テイストの話が
好きな人には
おススメの一冊だと思います。
まあ、絵柄がついていけないという人には
無理にとはいいませんけど。
しかし、こういうのも
サイキック・ディテクティヴものって
いうのかなあ、やっぱ。