$圏外の日乘-『江戸川乱歩異人館』2
(集英社 ヤングジャンプ・コミックスBJ、2011.7.24)

第2巻には、第1巻から続いている
「異人ノ四/明智小五郎×壁男~魔術師~」
の残りと、その他に
「異人ノ五/操男~白昼夢~」
「異人ノ六/箱女~お勢登場~」
「異人ノ七/額男~押絵と旅する男~」
の三短編が収録されています。

長編『魔術師』のコミカライズも珍しいですが、
「白昼夢」や「お勢登場」、
特に「お勢登場」のコミカライズは珍しい。


乱歩版の「白昼夢」は
ちょっとしたショートショートなんですが、
実は自分、この話好きです。

初めて読んだのは
小学生の時か中学生の時か忘れましたが、
なぜかは知らねど、お気に入りの一編。

山口のコミカライズは
性的な表現が露骨すぎますけど
(原作にはありませんよ。念のため)
まあまあ
原作の味を伝えている方じゃ
ないでしょうか。


一方の「お勢登場」は
これは見事なコミカライズでした。
やはり原作にはない性的的表現はありますが
単なる読者への媚びではなく
ストーリーの凄惨さに
密接に結びついているのがいいです。

でも、弟が自殺するのはどうか、と。
ちょっと腺が細すぎる気もします。

このラストだと、お勢が後々
稀代の悪女になるとは思えませんね(藁

「匣」に絡めた表現には
京極夏彦の影響も感じさせます。


最後の「押絵と旅する男」は
かなり原作から離れてる感じです。
てか、これじゃ原作の一部しか
活かしていないよね~(藁

もうちょっと原作よりの話でも
良かった気がしますが、
それだと前後編になったかな。


今のところ2巻までですが、
まだまだ出そうですね。

雑誌は買ってないし読んでないんで
今、何を連載しているのか知りませんが、
山口版「パノラマ島奇談」「陰獣」
「鏡地獄」「虫」「芋虫」はもとより、
様々な通俗長編のコミカライズ、
『闇に蠢く』や『孤島の鬼』、
『盲獣』なんかだと
あまりにベタなエロになりそうですが(苦笑)
『湖畔亭事件』なんかやると渋そう。
あと『黒蜥蜴』や『猟奇の果』、
特に文代さん絡みで
『吸血鬼』や『人間豹』に
期待したいと思います。
(『蜘蛛男』は、魔術師の回で
 解決済みの事件として新聞に載っていたから、
 描かれないんでしょうね。
 ちょっと残念な気もw)