ピアノ連弾版のゴルトベルク紹介した時
「実はあまり聴かない1枚」だと書きましたが、
弦楽三重奏版のゴルトベルクは
それに比べれば聴くことが多かったですかね。

というか、久しぶりに聴いてみたら、
やけに良かったです。

$圏外の日乘-弦楽三重奏版 ゴルトベルク変奏曲
(ポリグラム IDC-7043、1994.7.25)

直輸入盤で、原盤のレーベルは ORFEO 。
原盤のCD番号は C 138 851 A で、
1985年にリリースされています。
録音は1984年11月ですから、
ほぼ10年後に日本盤が出たことになります。

演奏は
ドミトリ・シトコヴェツキ(ヴァイオリン)
ジェラール・コセ(ヴィオラ)
ミッシャ・マイスキー(チェロ)の三人。
編曲はシトコヴェツキによるものです。

日本盤のジャケ(タスキ)裏には
「(グレン・グールドのために)」
という副題(?)が
編曲者名の後に着いています。
おそらくこれが買おうと思った理由でしょう。

オリジナルのライナーにも、ちゃんと
"In memoriam Glenn Gould" とあります。

日本盤解説によると、
グールドのレコードを聴いて
編曲を思い立ったのだそうです。


バロック音楽の時代は別名
通奏低音の時代ともいわれるくらい、
上声部を支える通奏低音部が
どの楽器によるどんな演奏にも
付くのが基本ですが、
(主にチェンバロとチェロが担当してました)
この弦楽三重奏版は通奏低音部はなく
三つの弦楽器が対等に絡み合う
弦楽合奏として編曲されています。

久しぶりに聴いてみると
この三つの楽器の絡み合いが
実に美しいだけでなく、
三声部の絡み合いが
たいへんよく分かる曲になっています。

声部が絡み合うというのは
おそらくバッハ演奏のキモでして、
少なくとも自分は
そういう演奏が好きなんですが、
そういうツボを突かれまくる感じでした。

日本語版ライナーによれば、
シトコヴェツキはこの演奏のために
ストラディヴァリではなく
グァダニーニ(のヴァイオリン)を使ったら、
上手くバランスがとれたのだそうです。

ストラディヴァリとグァダニーニの
響きの違いなんて、よく分かりませんが(^^;ゞ
ライナーには、ストラディヴァリを使ったら
ヴァイオリンだけが目立ちすぎたろう
と書いてあるので、
そうなんでしょうね、きっと。


この盤がきっかけとなって
あれよあれよという間に
弦楽三重奏版が出るようになった
という印象があります。

近年(2006年)では、
当盤に参加しているチェロのマイスキーが
こちらで前に紹介したヴィオラの今井信子と組んで
シトコヴェツキ版を演奏したりしてます。


とにかく、超有名盤であるだけでなく
いろいろあるゴルトベルク演奏の中でも
おススメの1枚です。

深夜に聴くと特にいいですよ。