前に紹介した、曽根麻矢子が参加した
『上野学園 石橋メモリアルホール
 オープニング・ガラ・コンサート』

ヴィオラを弾いている今井信子にも
もちろんソロCDがあります。

その、たまたま持っている1枚がこれ。

$圏外の日乘-マイ・バッハ・オン・ヴィオラ
(ポリグラム PHCP-1821、1997.2.26)

レーベルは老舗のフィリップス。
録音は1996年4月です。

これを買ったのは、割と好きな
ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタが
全曲収録されているのに加えて、
バッハの2人の息子、
長男のヴィルヘルム・フリーデマン・バッハと
次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの
曲が収録されているからだったと思います。

特にW・F・バッハの
ヴィオラとチェンバロのためのソナタは
珍しいのではないかしら。
C・P・E・バッハの方は父親と同じ
ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタです。

チェンバロ演奏はローランド・ポンティネン。
使用楽器はブランシェに基づく
ノイペルト・チェンバロです。
ブランシェの正確なレプリカかどうかは分かりません。

ヴィオラはもちろんモダン楽器ですが、
バロック奏法を研究した上での
満を持しての演奏のようです。

久しぶりに聴いてみたら、
チェンバロがよく鳴っていて、
ヴィオラとのバランスがなかなかいいです。
やはりモダン楽器同士の
組み合わせだからでしょうか。

ヴィルヘルム・フリーデマンのヴィオラ・ソナタは
哀愁あふれる感じの第1楽章が印象的な曲ですが、
偽作だという説もあるようです。

カール・フィリップ・エマヌエルのガンバ・ソナタは
父親の作品に似て、
チェンバロとの掛け合いのバランスが良く、
安定している感じ。

50歳を過ぎて失業して放浪したフリーデマンと、
フリードリヒ2世に仕えた後
フランクフルトの音楽監督者として
堅実な人生を送ったエマヌエルとの、
生き方の差がそのまま曲に現れている感じなのが
面白くも興味深いところです。

そういう作家論的な見方は、
もちろん後世の人間の思い込み、
ロマンティシズムにすぎませんけどね(苦笑)