
(2005/玉木亨訳、創元推理文庫、2010.2.26)
アイルランド出身の作家による
移動図書館の司書を主人公にしたシリーズ
題して「移動図書館貸出記録」シリーズ第1弾です。
ユダヤ系の青年
イスラエル・アームストロングが
ロンドンから、新しい勤め先となる
北アイルランドの田舎にある図書館に着いたとき、
当の図書館の入口に
閉館のお知らせが貼り付けてあるのを見て
ガクゼンとなります。
ささやかとはいえ、小さな書店の売り子を
やめてきたのですから、
これはガクゼンとせざるを得ないっすね。
地元の役所に行くと
図書館は閉鎖して移動図書館になるという。
移動図書館の司書など、図書館業務として
下の下のランクだと思っているイスラエルは、
ロンドンに帰ろうとするのですが、
帰りの交通費が無い。
2週間でもいいから勤めあげたら
帰りの飛行機代は持つと言われて
不承不承引き受けたイスラエルでしたが、
翌日図書館に行ってみると
1万5千冊あるはずの蔵書が
まるごと消え去っていました。
役所の上司から(これがなかなかの怪女w)
これは司書の責任だと言い負かされて、
仕方なく蔵書探索に駆けずり回るハメになった
イスラエルでしたが……。
本書はユーモア・ミステリです。
それも『空飛ぶモンティ・パイソン』みたいな
かなりドギツイ系の(ベタな、ともいうw)
オフビートなお笑いものです。
とにかくイスラエルは、地元住民から
徹底的にコケにされます。
小説の90パーセントが
その描写といっていいくらい(苦笑)
イスラエルも単なる本の虫で
読んでいるこっちまで
イライラしてくるような、へなちょこキャラなので、
最初から心得て読まないと
何じゃこりゃー、てことになってしまう。
少なくとも自分はそうでした(^^;ゞ
巻末の作者による献辞ページには、
ジョニー・ディップやキャプテン・クック、
ビリー・ワイルダー、アガサ・クリスティー
といった名前なんかも挙げられていて、
「各人との間柄、および事情にかんしては(略)
一部の人はすでに死亡している。
大方の人は他人である。
有名人は知人ではない。
どの人もいかなる責任も負ってはいない」
と書くあたりにも
作者のユーモア・センスがうかがえますね。
自分のことを真面目だと思っている人は
読まない方がいいかもしれません(藁
モンティ・パイソン流のおちょくりギャグ、
ないし、ひねくれたユーモアが好きな人には、
まあ、オススメかも。
【追記】
タイトルの作者名
「アンソム」になってたんで、
さすがにこれはまずいので直しました。
てか、今ごろ(3月22日、1:10頃)
気づいたのかよ、という(汗