昨年末に開かれた
Ring 忘年会チャット昼の部で
オススメの本は、という
ファンの方からの質問に答えて、
奈央ちゃんが「面白かったです」と
いっていた本です。

昨年末、近所の本屋にあったのを見かけて、
これも何かの御縁と購入しました。

$圏外の日乘-SOSの猿
(中央公論新社、2009.11.25)

ジャケ、きれいですね。
思わずジャケ買いしてしまいそうな。
実際は買ってなかったわけですが(藁

伊坂幸太郎の小説は、デビュー作と
『陽気なギャングが地球を回す』を読んでますが、
あれよあれよという間に売れっ子になってからは、
何となく手に取らなくなっていました。

売れてる本は別に読まなくても……という
例によって圏外的な発想からです(藁

デビュー作の『オーデュボンの祈り』も
案山子が重要な役割を果たす変な話でしたが、
今回の話もかーなーり、ヘン!(藁

ある日、幼いころ憧れだった近所のお姉さんに
引きこもりの息子をカウンセリングしてくれないか
と頼まれた遠藤二郎は、
その〈不幸な人を見捨てておけない体質〉から
問題の息子を訪ねるのですが……

この「私の話」の章と並行して、
「猿の話」と題して、
ある証券マンによる株の誤発注の原因を調査する
五十嵐真の話が語られていきます。
どうやらこのパートの語り手は
「猿」のようなんですが、
それが、ただの猿ではなく……

「私の話」と「猿の話」、
ふたつのパートが重なり合った時、
物語は新しい段階に入ります。
ここからの展開は、理に落ちるようで、
落ちないところもあり、それでも
ある種のカタストロフに到達するのですが、
それは読んでのお楽しみ。

感想は読んだ人それぞれで
いろいろあると思います。
個人的には、正義(正しいこと)をめぐる物語
という読後感ですが、
まあ、それはそれとして(それとするなよw)、
ユング心理学を援用した
謎解きもどきな言説も楽しかったですけど、
やっぱり、個々のキャラクターが面白いですね。

『陽気なギャング』もそうだったように、
個性的なキャラクターが
それぞれの個性を発揮しながら
ひとつのカタストロフに向かっていく展開が面白かった。

個人的には、
メインのストーリーに直接的には絡まないけど、
遠藤二郎の母親と、その友人である辺見のおばさんが、
肩の力の抜けた存在感のあるキャラで、好みです。

というか、この2人について語る
遠藤二郎の語りが面白いというか。

最後の最後に
遠藤二郎が幻視(?)する場面で
ある人物に言われる台詞は、
琴線に響いたというか、
だよねー、という感じで
著しく同意されたことでした。

オビ裏には「救いの物語」とありますけど、
誰かが誰かを救うというような、
単線的な(あるいは、短絡的な?)
構造の物語ではありません。
そこがまた、いいですね。

奈央ちゃんは、どこが面白かったんだろう(藁