読み終わりました、お風呂版のテキスト。

紙版のテキストはこれです。

$圏外の日乘-山形浩生訳『不思議の国のアリス』
(朝日出版社、2003年6月10日発行)

お風呂版にはイラストはありませんでしたが、
紙版にはスソアキコのイラストがついてます。

もともとネットで公開されて
著作権フリーだった翻訳を、
紙の媒体で刊行したものです。

それがまあ、お風呂で読む文庫にまで
進出したということになるわけですが、
知的財産権などの問題はめんどうなので、
ここではこれ以上はふれません。

オビに「半世紀後に、ガキどもが
まともに読めるのは、
ぼくの訳したアリスだけに
なっているかもしれない」とあるのは、
知的財産権絡みの「妄想」なので、
訳文の出来や価値とかとは、
あまり関係ありません。

でも、山形の訳は面白かったです。

今どきの子どもの言葉づかい? を
使おうとした訳文で、
その意味では北村太郎訳の系譜に
おかれるかもしれません。

訳者あとがきによれば、
かなりませた小学五年生くらいを
ねらったようです。

個人的に感心したのは
にせウミガメが、学校の科目を羅列する箇所の訳。
これは原文の言葉遊びを
日本語に移したというレベルで、ですが、
なかなか見事でした。

その同じ章で、学校に毎日行ったことを自慢する
にせウミガメに対して
「あたしだって学校くらいかよったわ。
 そんなに自慢することでもないでしょ」
と応えるアリスの台詞の背景について
「むかしはお金持ちしか学校になんかいかなかったんだ。
 だから学校にいった、というのは
 けっこうじまんできることだったんだよ」
と訳註で説明されているのには
蒙が啓かれる思いでした。

昔(自分の祖父くらいの頃w)の日本も、
そうだったよな~(しみじみ)

山形浩生訳『鏡の国のアリス』も
同じ朝日出版社から出ていますが、
こちらについては
また機会を見て紹介することにしましょう。
(つまり、まだ読んでないわけで【^^;ゞ )