$圏外の日乘-バッハ:イタリア協奏曲、フランス風組曲
(エイベックス・クラシックス AVCL-25094、2006.5.24)

曽根麻矢子のバッハ・シリーズの1枚ですが、
久しぶりに聴いたら、最初の
〈プレリュード、フーガとアレグロ 変ホ長調〉
BWV998 で、ハッとさせられました。

特に第2楽章のフーガ冒頭。
音符がはねるような感じの演奏にびっくり。

曽根さんの演奏の特徴(のひとつ)は、
ノリと軽み、だと思いますけど
(言葉が悪くて申し訳ない【笑 )、
それがこの曲ではよく出ている気がします。

原曲は、リュート(ギターの御先祖)
ないしリュート・チェンバロ
(リュート用の弦を張ったチェンバロ)
のために書かれた、
あまり知名度が高いとはいえない曲ですが、
ちょっと見直しました。

その他、
半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903、
イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971、
フランス風序曲 ロ短調 BWV831 を収録しています。

だいたいこの組み合わせで
CD1枚になることが多く(と思う)、
というのはバッハの生前、1735年に、
イタリア協奏曲とフランス風序曲とを合わせて
《クラヴィーア練習曲》第2部として
出版されているからでしょう。

その2曲に、単独で有名な
半音階的幻想曲とフーガを足して、
あと1曲、何を持ってくるかがミソなわけで、
曽根さんはリュート用の
プレリュード、フーガとアレグロ 変ホ長調
を持ってきたわけですね。

バッハのチェンバロ傑作集としては正統的だし、
上に書いたように冒頭の曲がいいので、
おすすめです。

なお、演奏に使用されているのは、
フランスのデュモン Dumont による
1707年製の楽器のコピーです。