榛野なな恵『Papa told me ~私の好きな惑星~』
true-Papa told me 29
(集英社クイーンズコミックス、2009年4月22日、419円+税)

今はなき、まんが専門誌『Comic Box』の
レビューで紹介されているのを見て、
第1巻と第2巻を買って読んで以来
(手許にあるのは1989年6月刊の4刷と2刷。くやしい orz)、
ず~っと買い続けている作品の最新刊が出ました!

作者の名前は「はるの・ななえ」と読みます(念のため)。

2004年の1月に第27巻が出てから、
新刊が出ずに、やきもきしていましたが、
去年の4月に判型を変えて、第28巻に相当する
『Papa told me ~街を歩けば~』が4年ぶりに出て、
それから1年ぶりの最新刊なのです。
よかった~、間なしに出てくれて。

評論家の的場信吉を父に持つ
的場知世(ちせ)を狂言回しとするシリーズ。
信吉が大恋愛の末に結婚した母親はすでになく、
知世ちゃんと信吉の二人で暮らすという設定で、
父子家族ゆえの世間の偏見にさらされながら、
そうした偏見に抵抗しつつ生きていく、
というのが初期のコンセプトだったんですが、
だんだんと二人への偏見と闘争を描くよりも、
ストレスフルな社会を生きる人々へのエールに満ちた
ハートウォーミングなシリーズになっていきました。

当初は『ヤング・ユー』という
レディース誌に連載されていただけあって、
ストレスフルな女性社会人向けの内容も、
それなりにハードで、そういうところも好みでした。
現在は『コーラス』に移って、
でも世界観は変らず、続いています
(初出誌では一度も読んだことはありませんが……)

そいや、NHKでドラマ化されたと
風の噂で聞いたような気が……
観たことはありませんが。

的場知世は小学4年生(のはず。第1巻からず~っとw)。
この娘が、頭が良くて、ほどほどにクールで、
それこそ、不思議の国にいるアリスみたいな存在。
彼女にとって、お父さんは絶対的な存在で、
ある意味、王子さま。
だから、自分のような男性読者は、
こういう娘なら欲しいかも、
と思わせられてしまう(苦笑)

知世を狂言回しにする物語は
社会風刺性が強いものが多い。
つまり知的。で、おしゃれ。
目線が可愛らしくて少女っぽい。
この作品を読むと、日常がキラキラしてきます。

今回収録の話には
40歳を過ぎても世界を放浪している
信吉お父さんの大学時代の友人が
不意に訪れるエピソードがあるんですが、
そうした生き方を単に肯定するわけでもなく、
もちろん否定するわけでもない、
微妙なバランスで支持しているあたりの書きっぷりは、
このシリーズならではの味わいと距離感でした。

そのほかのエピソードも上々。
一編一編について感想を書きたいくらいですが、
長くなったので、泣く泣く止めることにします。

さ、も一回、読みなおそ。

『Papa told me』第1巻&第2巻
圏外の日乘-Papa told me 1 & 2
(集英社ヤングユーコミックス、1988年2月24日&12月18日)