「ペットボトルで水が浄化される」って本当?

――“銀之輔式エコ技術”を検証してみた
 

「タンザニアで浄化分解装置を作り、マサイ族も住めない砂漠を緑化した。段取りはわかってるもん」
――山納銀之輔は、そんな自慢話を語っていたという。
 

その“証拠”として紹介されていたのが、青い塩ビ管と、土に埋められた数本のペットボトル。
一見「手づくりのエコ装置」に見えるそれだが……。

果たして本当に、こんなもので水が浄化できるのだろうか?

🧪 科学的にありえない仕組み

まず結論から言うと――ペットボトルを土に埋めただけでは、水は浄化されない。

水をきれいにするには、濾過材(砂・炭・石など)や、微生物が働く層、適切な流速と酸素供給が必要になる。
つまり、化学・物理・生物の原理がそろって初めて“浄化”は起こるのだ。
 

画像のような構造には、そうした仕組みがまったく存在しない。
密閉されたペットボトルでは水が通らず、空気も循環しない。
もし水を通すとしても、逆に腐敗や嫌気発酵を招くだけである。

🏜 砂漠緑化とはまったく別物

「砂漠を緑化した」という話も現実離れしている。
乾燥地を植物が育つ環境に変えるには、

  • 安定した水源(井戸・雨水貯留・灌漑)

  • 土壌改良(腐植質・微生物・ミネラル)

  • 風除け・日射対策
    など、多段階の環境整備が必要だ。

つまり、ペットボトル数本でできるような話ではない。
“エコっぽい”パフォーマンスであって、実際の科学的根拠はゼロなのだ。

🧰 「手づくり装置」という幻想

こうした「装置を埋めて水がきれいになる」といった話は、
見た目だけの“実験風演出”によく似ている。
YouTubeやSNSでは、それらしく語ることで人の興味を引く手法がよく使われるが、
実際には何の効果もないことがほとんどだ。

“銀之輔式エコ技術”も、その延長線上にあると見てよいだろう。
「環境を救うヒーロー」としての自己演出にすぎない。

🪞 幻想ではなく、現実を見よう

理想を語ることは悪いことではない。
だが、「奇跡」「浄化」「緑化」といった甘い言葉の裏に、現実の知識や技術が伴っていないなら、
それはただの幻想でしかない。

私たちはもう、“言葉の魔法”ではなく、現実に根ざした行動を選ぶ時代に生きている。
自然を守るとは、ペットボトルを埋めることではなく、
ひとつひとつの暮らしを丁寧に見直すことから始まるのだ。

 


🪶「奇跡を語る人より、地道に耕す人の方が、世界を変える力を持っている。」