久々の更新となりましたが、先日閉幕した世界選手権の感想を述べようと存じます。
60kg級
東京五輪金メダリストの髙藤 直寿選手が力の差を見せて優勝。
技術的には既に完成されている上に、これまで以上に体幹の強さが増していて、相手の技にもバランスが崩れない印象でした。
48kg級
ディフェンディング・チャンピオンの角田 夏実選手、巴投からの腕挫十字固という必勝パターンで見事優勝。
近年の巴投はいわゆる「横巴」が主流で、左組の場合は右足を相手の下腹部に当てつつ横方向に投げる場合が多いのですが、角田選手の巴投は左足を相手の下腹部に当てつつ右足の甲で相手を跳ね上げるような独特の形。相手に研究されていても掛かるのは凄いと思いました。
一方、東京五輪銀メダリストの渡名喜 風南選手、2、3回戦は見事な一本で勝ち上がりましたが、迎えた準々決勝、相手に袖を押し込まれ、体を捻って腹ばいに落ちる際、脇固で相手の腕を極める形となってしまい、反則負け。残念な結果となってしまいました。
66kg級
下馬評通り、阿部 一二三選手と丸山 城志郎選手の決勝戦でした。
結果は、丸山選手の内股を阿部選手が小外掛で返して技有で決着。2019年GS大阪でも似たような形で決着しており、阿部選手が今までの対戦を通して丸山選手が内股に来るタイミングを掴んでいる印象を受けました。
52kg級
阿部 詩選手が順当に優勝。
時折見せる、釣り手で相手の背中越しに脇の辺りを抱え込むような独特の組手が効果的で印象に残りました。
73kg級
橋本 壮市選手、得意の「橋本スペシャル」(片手の袖釣込腰)が徹底警戒される中、苦しみながらも粘り強く決勝まで勝ち上がりましたが、ツェンドチル選手(モンゴル)に放った出足払に相手の小内刈がカチ合ってしまい、一本負けで涙を飲みました。
57kg級
舟久保 遥香選手、得意の寝技を駆使して決勝まで勝ち上がるも、ラファエル シウバ選手(ブラジル)の内股でポイントを奪われ、惜しくも銀メダル。
寝技にバリエーションが増えて進境が見られましたが、最終日の団体戦でも内股で投げられる場面が見られ、内股対策が課題と感じられました。
81kg級
東京五輪金メダリストの永瀬 貴規選手、タト グリガラシヴィリ選手(ジョージア)と消耗戦の末、3つ目の指導を受けて敗退。それでも敗者復活戦を勝ち上がり、三位決定戦は藤原選手に競り勝って三位を確保しました。
一方の藤原 崇太郎選手、前回王者マティアス カッセ選手(ベルギー)からリードを奪うも、残り時間僅かのところで逆転の一本負け。勿体無い試合を落としてしまいました。
63kg級
堀川 恵選手、柔道ファンの間では旧姓の津金選手の方が通りが良いかもしれません。
この大会は片袖からの大外刈が効果を発揮し、見事金メダルに上り詰めました。