東西OB四連2017 | アンクルコアラのブログ

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日本酒、ラグビー、美術展、日本古代史、その他ランダムに雑感を綴って行きます。気まぐれなので更新は不定期かも?

すっかりブログの更新が滞っている。書評やグルメ探訪記など、書くべきネタは山ほどあるのだが、一旦怠け癖が付くと元に戻すのは難しいものだ。

しかし昨日は他ならぬH先輩がワグネルOB男声合唱団のメンバーとして出演される、東西OB四連の定期演奏会当日である。このブログで演奏会の様子を紹介することが私に与えられたミッションである。

東西OB四連は、隔年で東阪交互に開催される。東京で前回開催されたのが2013年の6月、会場は東京芸術劇場であった。

あれから4年、いろんなことがあったが、元気で今日東西OB四連を聴くことが出来ることは、何と有難いことであろうか。

今回の会場は三軒茶屋の昭和女子大人見記念講堂である。東急世田谷線の終点、三軒茶屋駅を降りた時から、昭和女子大方面に向かう東西OB四連の観客と思しき中高年の男女で一杯であった。(無論私もその一人である。)
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13:45に開演となり、緞帳が上がると4大学の面々で壇上は満員電車のように混み合っている。確か160人と聞いていたが、観た限りではそれ以上にも感じられる。
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オープニングの「ガウデアムス」が無事終ると何故かホッとした。

さあ各校の演奏が始まった。トップバッターは関西学院新月会。前回のアメリカン・オールドソングスも素晴らしいアンサンブルを披露してくれたが、今回の「アイヌのウポポ」もそれに劣らぬ演奏であった。

一曲目の「くじら祭り」では、海鳥の擬態音で観客の度肝を抜いた。そこからイヨマンテ、ピリカ・ピリカと続き、アイヌの世界観を見事に表現した。

二番手は稲門グリークラブ。曲目は草野心平作詞の「北斗の海」である。新月会とは北海道で繋がっているが、雰囲気はかなり異なる。やや詞が難解ということもあり、稲門グリーにしては大人しい印象だった。それでも最後の曲である「エリモ岬」は、島倉千代子や森進一に負けない秀逸な襟裳岬を表現していた。

休憩を挟んで、三番手は同志社クローバークラブ。演目は「Messe Solennelle〜荘厳ミサ〜」。ミッション系大学の草分けである同志社のお家芸かと思ったら、プログラムを読むと本邦初演は何と関西学院だそうだ。

しかし流石は同志社、厳かな中に透明感に満ちた演奏に心が洗われた。テノールの柔らかく包み込む歌声が強く印象に残った。

トリは慶應義塾ワグネルソサィエティー。演目はドボルジャーク作曲「ジプシーの歌」。見慣れた「ドボルザーク」ではなく「ドボルジャーク」と表記しているのは、無論意味があるのだろう。

流浪の民であるジプシーの哀しみを、ドボルジャーク一流の哀愁に満ちた旋律に乗せた名演なのだが、流石はワグネルOB諸氏、単なる哀愁に流されない力強さや粗野なまでのふてぶてしさ、したたかさを見事に表現されていた。
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丁度今、中公新書「バルカン」を読んでいて、紛争に明け暮れる悲劇の国々とイメージが大きく崩れていたところなので、ジプシーの故郷であるチェコバルカンの一角ではないが、相通じるものを感じた。

「ジプシーの歌」を構成する7曲の中では、4曲目の「Als die alte Mutter」と6曲目の「In dem weiten,breiten,luft'gen Leinenkleide」が、ジプシーの哀しみと矜恃が率直に表現されていて、私は好きだ。

あっという間に2時間が経ち、最後の合同演奏を迎えた。今回は始めの「希望の島」と終りの「斎太郎節」を合同で、その間を各校のソロで演奏する構成であった。
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素晴らしい演奏を堪能したことは言うまでもないが、各校ソロの演目をプログラムを記載してくれていたら有難かった。いや、耳の肥えた観客の皆さんは記載など不要なのかも知れない。

また今回は各校校歌のエールがなかったのは斬新な演出であった。あまり学校の色を前面に出すのもどうかと思うが、聴き慣れた塾歌がないのは若干寂しかったことも確かだ。

それにしても各校OBの皆さん、実に若々しく頼もしい。4年後も変わらぬ美声を是非ご披露頂くべく、益々のご健勝を心よりお祈りしたい。



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