映画感想 劇場版第2弾「TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

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TOKYO MERシリーズはテレビドラマ版からに大ファンです。
2次災害の危険をかえりみず現場に突入していく展開はリアルな救命活動を描いたドラマとしてはアウトでしょうが、
ヒーロー物として割り切れば激アツです。
このドラマが素晴らしいと思うのは主人公たちMERのメンバーだけでなく、
現場で救命活動にあたる全員をヒロイックに描き切っている点でした。

東京MERの成功を受けて国は全国展開を開始、沖縄方面にも試験的に南海MERが運用され、
東京チームからは喜多見(鈴木亮平)と蔵前(菜々緒)が応援として参加しています。
日本は万が一に備えるだけの国力を失っており、
試験期間中に実績が上がらなければ南海MERは廃止、ということが暗黙の了解となっていて、
南海MER若手メンバーの中には病人や怪我人を望む本末転倒な空気さえ生まれています。

リーダー候補の医師・牧志(江口洋介)は普段は釣りに興じおどけた態度をとる、
いざとなったらすごい能力を発揮することが一目瞭然の分かりやすいキャラクターです。

ついに南海MER廃止を決める第3者委員会が開催されたとき、
離島の一つ諏訪之瀬島で火山が噴火、海上自衛隊や海上保安庁の到着には1時間がかかり間に合いません。
海にまで噴石が落下する危険な状態の中、南海MERと東京の指令室は決断を迫られます。

すでに溶岩に襲われた重傷者を含む北側の住民8人が山間部を通って西の港を目指し、上陸した南海MERの4人は合流を目指します。
一方、MERのフェリーに待機する知花(生見愛瑠)と蔵前は、ある決断を下していました。

ついに溶岩は南側にも流れ始め避難していた80人近い住民に迫ります。
無事な漁船は1隻だけで全員が乗り込むことはできません。
車両は通行不能で徒歩により進んでいた喜多見たちは、
北側から避難した住民と合流して重傷者をストレッチャーに乗せますが、
他にも足の悪い高齢者が多く、徒歩で山道を避難することはは不可能な状態です。
次から次に襲いかかる危険的な状況に息つく暇もありません。

今回は応援が間に合わない、という設定なので海上自衛隊や海上保安庁の活躍を見ることはできませんが、
その代わりに一般の住民たちの勇気ある行動が描かれて胸を打ちます。

離島の緊急医療程度と考えていた若手隊員たちが想定外の大災害に怯えながらも立ち上がっていく姿や、重傷を負いながらも的確な指示を出す牧志も感動的です。
ベタな展開と感じる観客も多いかとは思いますが、
自分自身は完全にハマってしまい、白状すると終盤は涙が止まりませんでした。

保身ばかり考えるダメダメ政治家、久我山(鶴見辰吾)をうまいこと利用しちゃうのもお約束になっていて楽しめます。

すっかりたくましくなって喜多見たちが不在の東京MERを守る弦巻(中条あやみ)の姿も嬉しく思いました。
残念だったのはカメオ出演を期待していた喜多見の家族が登場しなかったことです。
子供の成長ぶりにも期待していたのですが。
シリーズ中一番のクセ者といえる白金(渡辺真起子)はしっかり顔を見せてくれます。

東京との格差が描かれる部分もあって、国がふるさと納税を使い、目の色変えて東京から金を吸い上げるのももっともだな、という妙な納得感もありました。