最近出版された吉田剛士氏著の「まるごとマンドリンの本」を読了した。

少しは未知の情報があるかと思ったが、マンドリンの熟練者やマニアなら、ほとんど知られている事ばかりのように思った。演奏技術の解説内容も経験者なら定石ばかり。少なくとも私個人的には得られるものがなかった。

と言っても無価値ではなく、マンドリンの歴史、構造、奏法、買い方メンテナンス、演奏形態、マンドリン界の課題等すべてが網羅されていて、マンドリンの門外漢でも初心者でも、マンドリンにまつわる事を知り理解する事ができるようになっている。そういう意味ではよく出来た本だと思う。

マンドリンに興味を抱いた未経験者やマンドリンの初心者や経験の浅い学生諸君にはとても参考になると思うし、勧められる。

本に書かれている内容に間違いはなく反論の余地のある個所もないと思います。業界の裏事情知っているので「とにかく安く買うには」の項目のところには一言言いたい事もありますが、敢えてやめておきます。

さらに言うと、「マンドリンのこれから」のところで、現状分析や時代の変化には言及され上手くまとめれていたが、肝心なマンドリンを普及させるにこうすべきだという力強い提案提言がなかった点が惜しまれる。吉田氏は今やマンドリン界に影響力ある第一人者であるのだからなおさらだ。そういう意味でこの本の評価は99点。それ以上はあげられない。