昨日は久しぶりにマンドリンの演奏会に行きました。奏者はイタリアの名演奏家カルロ・アオンツォ。場所は横浜山手エリスマン邸。今年はオーケストラに参加する為もありバイオリン三昧でマンドリンはほとんど弾く意欲もなく過ごしてきたので、刺激を受けマンドリンにも向かわせようと意識的にチケットを購入し行ったのだけど、、、、。
天気は快晴で、横浜山手の散策は気持ちが良かった。元町中華街駅からエレベーターに乗り、出た所はアメリカ山公園。ベイブリッジが見え遅咲きのバラも綺麗だ。外人墓地を過ぎしばらく行くとエリスマン邸。その地下ホールでの演奏会です。
開場してみると、70過ぎと思われるのお嬢様ばかり。8割がたがそう。50代以下と思える方は数えるばかり。あと十年後はどうなるのかなと危惧せざるを得ない。
第一部は「マンドリンの変遷について」という題でプロジェクターを使った講演。各時代の絵画上に描かれたマンドリンについての考察を説明。紀元前のギリシャにマンドリンに似た楽器があった事は驚き。また、中世14世紀頃、マンドリンに似た高音楽器とリュートに似た低音楽器と対で活躍してた事を知った。またピカソがビナッチャマンドリンを所有するほどマンドリン好きだったのを知った。中世ルネッサンス期の絵画にはこの高低二つのマンドリン属が対で描かれる事が多く主役級の楽器である事が分かった。
第二部最初はアオンツォでなく、マンドリン界では有名な日本人(田島泰子氏、森真理氏、小穴雄一氏)の四重奏。曲はアマディとボッタキヤリ作曲のバティナンド(スケートをする人)。掘り出し物曲らしく知らない人が多いだろう。けれど可憐でいい曲だ。埋もれた曲が多いのがマンドリン界。掘り出すのは面白いが、受け入れるのはマンドリン界のごく一部。それがマンドリン界以外の皆に受けるかは不明。マンドリン界ですでにメジャーな曲を重点に普及していく方が今後のマンドリン界の発展にはいいようにも私は思う。
前座が終わってカルロの本番
四重奏団員と、ビバルディのマンドリン協奏曲ハ短調
驚いたことに立って独奏部分を演奏。オリジナルに沿った形でなくかなりアレンジしている。音は大きく鳴りピッキングは適格だ。その後3曲弾いたが、トレモロのない曲。ややもすると退屈になりそうだけど、ピックを左右にスライドさせていて音色の変化をつけている。その点は見習うべきだ。マンドリン協奏曲以降は座って弾いているが、楽器を完全に足に降ろし置くのでなく、右ひじで楽器を固定し手首で弾いている。ひじの下以降をスイングする同志社式とは違う。右親指の関節も真っすぐでなく曲げている。
実は最後のカラーチェの第二前奏曲をどう演奏するか気になっていたしその為に来た。結果的には残念。重音トレモロの重厚な音を期待していたのだが、トレモロでなく単音で弾いていた部分もあったし、スピードと緊張感のある演奏ではなかった。また強弱の表現もいまひとう。ジョゼッペ・アネダを越える演奏はこれからもないのだろうか。こういう曲の理想的な演奏というのは自分で弾いて追い求めるしかないのだろうか。そう思うとまたマンドリンを弾いてみたくなった。
アンコールに弾いた彼の父親が子守歌替わりに弾いてくれたという曲。低音部を伴奏とするシンプルな抒情的な曲だった。この曲が一番心に響いた。