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昨日イグチさんに行ってブリッジ交換したPecoraroを引き取った(一番上の写真)。入手時から弦高が高く、音は良かったが弾きにくく、音の抜けが悪かった。オリジナルのブリッジのようなので、我慢して使用してきたが、試しに新調してみて正解であった。極めて弾き易く楽器の性能が思う存分発揮できるようになった。

ところで、「オリジナルのブリッジのようなので」と何故言えるかというと、エンべルガーのブリッジには特徴があるからである。上の写真の二番目がPecoraro三番目がLuigiの1899年のブリッジである。共に中央付近に真ん中に向かって二つに分かれる切り込みが入っている。今までに入手したEmbergherは明らかに違うと判断できるもの以外は全てこのようなブリッジだった。この切れ込みをする事でブリッジと表板の密着度を高める狙いがあったようだ。Luigiはバイオリンも作っていたので、バイオリンの駒のように二つに分けて中央部に空間を設けたら、効果があると思ったのかもしれない。

切れ込み以外に低音弦から高音弦にかけての大きな傾斜ももちろん特徴だ。CalaceやVinacciaとの大きな違いだ。と言ってもオールドマンドリンに付いているブリッジを見てオリジナルかそうでないか判断するのは難しい。楽器にはラベルや刻印はあるが、ブリッジには何もない。そういう意味でEmbergherは判りやすいが、切れ込みのあるブリッジが全てオリジナルとも言い切れない(オリジナルを真似て作っている場合もある)。弦の接点でもあり、ナットと共に楽器のパフォーマンスに影響する部分なので、オリジナルであろうと替える必要があれば、替えるべきなのだろう。

ちなみにフランスのエンべルガーと言われるEgildoを何台も入手し見てきたが、ブリッジは傾斜はしているが、このような切れ込みは入っていない。あまり効果がないと考えたのだろう。胴の内側に薄板も付けていない。力木も傾斜してない。胴の内部はEmbergherとまったく異なる。外見はEmbergherに似てそうで三角ネックも同じで、指板も傾斜している。しかしその指板も断面で見ると中央の膨らみがない。Embergherよりシンプルな作りになのだ。