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一昨日到着したZanoniの弦を替えました。

いつものことながら、何十年も弾かれなかった未調整マンドリンなので
弦は黒く錆びています。たいていの場合、E線は錆びに負け切れている
かなくなっています。この楽器もE線だけは2本共ありませんでした。

GD線は節約しオプティマの赤、E線はトマスティーク。A線はオプティマ
ゴールド。
なぜE線はトマスティークなのか?
以前は某社の弦を使用していたのですが、これがよく切れる。あまりに頻繁
によく切れるので、切れにくい弦はないかと思案していました。カラーチェの
E線をトマスティークにしていたのですが、これがほとんど切れない。もしか
て切れにくいのではと思い、構造的に張力の強いGelasに付けたところ、
E線は以前より切れにくくなりました。
気のせいかもしれませんが、経済的な事、弦の張り替えの面倒さを考えると、
この弦がいいように思うのです。切れにくい弦なぞないと言われてますが、私
はE線に限って言えば今はトマスティーク愛用者ですね。
所詮は楽器との相性抜きの経済性利便性優先の話ですが、、、

弦替えの前にペグを本体からはずし、KURE556をペグ内部に付けました。
この当時のカバー付ペグは固まりやすいからです。木ネジをはずす手間がいる
のですが、固まってからでは遅いので、弦替え前にやりました。この時期の
ペグカバー付きのオールドを持っている方で、少し動きが固いと思っている方
がいらしたら、思い切ってペグを本体からはずして油を注入する事お勧めします。

ところで、Zanoniの音は?

この時期のナポリのマンドリンとしては音量が大きい方だと思います。意外に
も低音部もよく鳴ります。低音部のハイポジもがさつかず、深みのある音がし
ます。今のカラーチェなんかよりずっといいと思います。高音部はやはり硬め
の音色です。E線ハイポジも最高音Aを除き明確に出ます。
リブがわずかに剥がれていてもこれだけ鳴るのですから、力木を含め胴内部の
状態は問題ないでしょう。
ただ、ネックがわずかに反っているとは言え、弦高が高く弾きづらい感じがし
ます。弾きやすさということで見ると、Egildoは最高だと改めて思いま
す。(この頃のナポリのマンドリンの指板は非常に薄いので、ある程度はやむを
得ないのですが。)

この楽器どうするかはしばらく弾きながら考えます。20日まで休みなので、
じっくり楽しもうと思います。

それにしてもひょっとしたら、100年近く眠っていたこの楽器、弦を張替え
演奏すると言う事は、楽器にまた生命を蘇らせ復活させる事なのだなと今日改
めて感じました。
たまたまサンタルチアを演奏したら、楽器の方が嬉しそうに反応してくれたよ
うな気がしたのです。まるで生き物のように、、、
まだまだ100年以上、あるいは何十年と眠っているオールドマンドリンは数
多いのです。弾く人さえいれば、その生命を復活させる事ができるのです。
眠っているオールドマンドリンの為にも、これ以上マンドリン音楽を衰退させ
てはいけないように思います。

<5月18日追記>
12フレット目のハーモニックスの音より実音が高いので、ブリッジを調整し
たら、表板の頂点より下にブリッジが降りてしまった。一応薄くブリッジマーク
があってそこの位置に長い間ブリッジがあったようなのだが。オールドマンドリン
ではよくある事なので、驚かない。Egildoもギリギリの境の所だ。チュナー
のない時代なので大目に見てあげよう。少し格好悪くなったが、その分弦高が
低くなったので、弾きやすくなった。音程も良くなったので、さらに元気に歌
うようになった。
GelasやEgildoの華やかな音色とは違い生真面目で端正な感じの音
で、力強く反応する。いかにもVinacciaの伝統を引き継いだ優秀な弟
子の楽器て感じでしょうか。
いろいろ弾いてみましたが、やはりイタリアオリジナル曲がぴったりする楽器
なような気がします。

<5月19日追記>
ブリッジの位置がズレているのは、リブの剥がれが影響しているかもしれない。
なので、修理しないと、製作家の誤りかどうかは判らない。今日Calace
1925年のブリッジ位置を改めて確認したが、ブリッジマークの位置にピッ
タリだった。Egildoはやはりもう少しで境目になる位置でした。OLD
Calaceはフレッチングもブリッジの位置も極めて正確ですね。恐らく
ラファエロは絶対音感の持ち主だったのではないでしょうか。チューナーのな
い時代は音感しか頼りにならないのですから、そう考えていいかもしれません。
そうでなければ、あれほどの名曲を次々と生み出せなかったでしょう。

非常に「正確」なCalaceだが、弾き比べてみると、このZanoniに
かなわないように思います。非常に弾き手に反応し、大きな音を発する事がで
きるのです。一直線な音で、筋肉質の男性を想わせます。Calaceも大き
な音が出るのですが、これ程ではないのです。

<5月23日追記>
今日もこの楽器を弾きましたが、いいですね。イタリアオリジナルなら、この
楽器て感じです。イタリア民謡とかイタリアオリジナルの合奏曲なら、絶対こ
のようなイタリアンオールドが合います。Vinacciaの弟子レベルの楽
器で十分な気がします。カラーチェの前奏曲やラニエリの協奏曲なんか弾かな
いのなら、この程度の楽器で本当は十分な気がします。
高度な曲弾かないのに100万近いクラシコ買う人の気持ち分かりません。
まあ、最高の楽器で人生楽しみたいという事なのでしょうが、価格で最高は真
の最高ではないのです。この辺り分かってない人多すぎる気がするのですが。