




見て楽しむのもそうだろう。特に姿の美しい楽器は、見て過ごすの
もいい。特にオールドマンドリンの場合きらびやかな螺鈿装飾が施
されているものもある。ちょっと今の職人の技術では太刀打ちでき
ないレベルのものもある。
私もオールドマンドリンを入手し始めた頃は、螺鈿装飾の美しさに
惚れ込んだものだ。しかし今は違う。
マンドリンのような弦楽器の場合、木の材質の美しさ、木の加工技術
の見事さを見て楽しむべきだと思う。木そのものこそ楽器の生命であ
る。うわべの装飾は二の次だろう。
どんな材料の木が使われているかで、その製作家の技量も分かるよう
な気がする。なぜなら、材料の選定から楽器製作が始まるからである。
どの程度の楽器か、使われている材料を見ればある程度判るような気
がする。
優れた楽器は、何度見ても、何時間見ても飽きる事がない。
深夜ホットウイスキーを飲んで、寝床に入る前、いつもケースを開けて
オールドマンドリンを出し、クロスで磨きながら、その姿を見る。
美しい木目を見ながら、木のぬくもりに触れる、、、至福の時間だ。
温かな木の感触。そうだ、触れて楽しむという事もあるのだ。なぜか
リラックスさせてくれる木の感触。弦楽器のような木製楽器でないと
これは味わえないだろう。
ギターやバイオリンも弾くが、木の感触のない他の楽器を弾く気には
何故かなれない。過去森と生物が共存していた証しなのだろう。