伊豆湯ヶ島温泉白壁荘 | 八海老人日記

伊豆湯ヶ島温泉白壁荘

          伊豆湯ヶ島温泉白壁荘  平成19年5月17日(木)、いつもお世話になっている小唄の師匠と小唄仲間のH氏と小生の三人で、伊豆湯ヶ島温泉の和風旅館「白壁荘」の一泊を楽しんだ。お天気情報では雨ということだったが、なんと五月晴れの良い天気。師匠に、貴女は晴れ女ですか、と聞いたら、とんでもない、私は有名な雨女ですというお返事。日頃の心がけが良かったせいで、こういうこともあろうかと、飲み物を仕入れて、12時東京発の踊り子号に乗り込む。H氏は横浜からだから、そこまでは師匠と二人きり、周りはガラガラ。横浜からH氏が乗り込み、一緒にビールをのむ。師匠が買ってくれたお握りがおいしかった。


 踊り子107号は15輌編成で、前10輌は熱海で切り離し後5輌が修善寺行き。14時6分に修善寺に着くと、旅館の車が迎に来ていた。新緑の中を気持ちよくドライブして白壁荘に到着。女将以下うやうやしくお出迎え。当初の予定では、「昭和の森グリンガーデン」を訪れて石楠花を観賞する予定であったが、今年の石楠花はもう花は終りとのことで、出掛けるのは諦め、夕食までゆっくり温泉に入ったりお茶を飲んだりしてくつろぐことになった。


 夕食は、6時からで、お部屋にご馳走を運んでくれた。名物の牡丹鍋、鮎の干物、お刺身、伊勢海老の赤だし、山葵ご飯など皆美味しかったし、冷酒に摩り下ろした山葵を混ぜた山葵酒がワインのような味で珍らしかった。十分に飲み且つ食べて、さあこれから唄いましょうと師匠の三味線でH氏が得意の「から傘」や「味」などを披露。宿の若女将の祐香ちゃんも加わって「夜桜」を唄ってくれたりしておおいに盛り上がった。9時半ころお開きにしたが、これに熱海の五和乃師匠が参加していたら、夜半まで続けられたことであろう。なにしろ五和乃師匠は毎日午前二時頃まで起きていてブログを書いておられるのだから。


 翌日、朝6時頃起床、H氏と二人で先ずビールで乾杯。澄んだ朝の空気でビールが一段と美味しい。この地に縁のある作家の井上靖は、北海道旭川の生まれであるが、母は湯ヶ島の医家の長女であった。父の任地の移動で、転々としたが、5歳の頃から湯ヶ島で祖母に育てられるようになった。沼津中学時代に文学に目覚め、やがて作家となり数々の文学賞を受賞し多くの名作を残した。その中に私が30代の頃、心を奪われた「氷壁」や現在NHK大河ドラマ「風林火山」なども含まれる。「氷壁」は映画にもなり、山本富士子、菅原謙次、野添ひとみなどの俳優たちの顔が目に浮かぶ。今年は井上靖生誕百年祭で色々な行事があり、白壁荘のご主人も講演を引き受けられたり文学散歩の案内人をされたりでお忙しいとHPに書いてあった。


 8時に朝食を摂り、10時出発で修繕寺「虹の郷」まで旅館の車で送ってもらう。ここを訪ねるのは初めてであるが、残念ながら

日本庭園の石楠花の花は終り、花菖蒲はまだこれからで、フェアリーガーデンのバラが満開で綺麗であった。13時頃三島へ出て美味しい鰻を食べながら一杯やってから帰ろうと、前に来たことのあるお目当ての「水泉園」という鰻屋へ行ってみたら、「都合により本日休業」の張り紙が張ってあってお休み。噂ではご主人が亡くなられたらしいとのこと。やむを得ず「桜屋」という鰻屋まで歩いて行き、3時半頃までビール、日本酒でねばり、帰りの踊り子号ではみんないい気持でとろりーた。