日本古代史 | 八海老人日記

日本古代史

 古事記が編纂されたのは西暦712年で、そんなに古いことではない。それ以来日本の歴史は、神代という神話の時代から始まって、西暦紀元前660年にヤマト部族が王権を確立し、カムヤマトイワレヒコが初代天皇(神武天皇)として橿原で即位したことになっていた。しかし、神武天皇の即位は神話時代の話で、真実性に乏しい。私が尊敬する津田左右吉博士は、戦前、神話は歴史ではないと主張されたが政府によって退けられ、著書は発禁処分にされた。第一、西暦紀元前660年頃は、まだ縄文時代で、日本各地は混沌としており、天皇が即位するなど考えられない頃である。


 ヤマト地方には、朝鮮半島から、有力な部族が渡って来て、次第に勢力を広げて行ったことは前にも書いた。 その後、九州から、銅や鉄を駆使する戦闘的な部族がヤマトに進入し、出雲など周辺諸国を呑み込んで王権を確立したのは、3世紀前後の頃と考えられるが、これが天皇家の先祖らしい。しかし、古事記では欠史八代と言われ、崇神天皇の頃までは、天皇家の系図だけで、何の史実も残されていない。多分、十代位までの天皇の系図は後から作られたものであろう。


 私達が学校で教わった日本の歴史は、天孫降臨や神武天皇即位などの神話から始まり、中学生だった昭和15年は日本紀元2600年と教えられた。戦後修正されたが、それまで国民はすっかり騙されていた訳である。その上、皇国史観、神国思想に洗脳され、八紘一宇の人柱にされた。一体、いつになったら真実の歴史を教えられる様になるのかしらと思う。


 今また、教育基本法改正を機に、神の国・日本を唱える森前総理を頂点とする自民党の文教族や神道政治連盟議員団の面々は、愛国心の涵養を教育目標に掲げようと躍起となっている。日本は神の国などという考えを抹殺しないと、また日本国民は大変な処へ連れてゆかれないとも限らない。日本は神の国だから大切にするのではない。 日本は世界に比類のない優れた文化を持っているから大切に思うのである。次の世代を背負う若者達の為に心配する訳である。