小泉首相の評価 | 八海老人日記

小泉首相の評価

 中韓の指導者が日本の指導者・小泉首相に対して抱いている評価は、決して日本人にとって有難いものではない。先日、19年度予算が国会で承認された際の記者会見においても、中韓との外交関係改善に関する記者の質問に対し、小泉首相の答弁は、靖国神社に参拝して何が悪いか、個人の心の問題に他国の指導者が何で兎や角言うのかと、開き直ったものであった。 それも一国の首相として立派な答弁であろうが、中韓指導者を納得させるものではない。そこで両者の中間に立って、この問題について、歴史的、論理的な問題として捉えて見るのも面白いのではないかと思う。



 中韓の指導者が日本の小泉首相に抱いている評価は、次の二つの三段論法で表現出来るとする。

その1:

(A)日本の小泉首相は、靖国神社に参拝することを止めない。

(B)靖国神社は、天皇のため戦争で命を捧げた者たちを祀った神社で、日本軍国主義ナショナリズム    のシンボルである。

(C)故に小泉首相は、日本軍国主義のサポーターである。

その2:

(A)日本の小泉首相は、靖国神社に参拝することを止めない。

(B)靖国神社には、日本軍国主義ナショナリズムの指導者であったA級戦犯が祀られている。

(C)故に小泉首相は、日本軍国主義のサポーターである。


 小泉首相が、中韓指導者の評価を改めさせようと思ったら、その1及びその2の(B)の誤謬を証明し、二つの三段論法を論破しなければならないであろう。


 凡そ霊に対して参拝するとか祈るとかという行動は、宗教的なものと言える。個人の信教の自由は憲法で保証されている。しかし、一国の首相たるものが、寺院や教会へ行くのなら兎も角、日本軍国主義ナショナリズムのシンボルである靖国神社に参拝して祈るという行動は、個人の問題として片付けることは難しい。

 そしてまた、小泉首相がいくら心の問題だと言い張っても、中韓指導者はそれを信じない。単に心の問題だとしたら、何も靖国神社へ行かなくても、何処でもよいわけである。


 4月10日に着任する新中国大使・宮本雄二氏は、着任を前に「靖国問題は、日本の宗教観、文化、伝統に関係する問題。中国側に分かる理屈で説明し、納得してもらうよう努力する」と語ったが、中国側だけではなく、偏ったナショナリズムを持たない日本人にも分かるよう説明してもらいたい。