晩夏の森、二人で花のワルツ その一 | A portrait of.....

A portrait of.....

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八月も終わりに近づいたある日の夜、私は夫の祖父母が住んでいた、今は夫の伯父夫婦の持ち物となっている鬱蒼とした木々に包まれた古い洋館の庭にいた。

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今夜は夫の親族や、この洋館のある別荘地に住むご近所の人達が一緒になり、賑やかに夏を惜しむ宴が開かれた。

数ヶ月前にはお腹に赤ちゃんがいる事がわかった私は、しばらくは気分が悪く家に閉じこもってばかりいた。ようやく体調が落ち着いてきて、白樺の木に囲まれた、イギリス映画に出てくるような木の出窓のある部屋や、天蓋付きのベッドのあるこの洋館に行く事をとても楽しみにしていた。

夫や男性陣、同年代の従兄弟達はまだまだ話し足りないらしく、近くのビストロに場所を変えて飲みあかそうと一番賑やかなグループがまずいなくなった。それに続いて子供達はベットに追いやられ、子供達のお母さん達も寝かしつける為にいなくなった。

今はさっきまでの賑わいが嘘のようにひっそりと静まり返っている…。

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かつてイギリス人の牧師夫婦が住んでいたという古いこの洋館は、ドアも木彫りの重厚な、鈍く金色に光る真鍮のドアノッカーが付いているものだった。

伯父達は建て替えるのも大変だし、出来れば手放したいようだったが、屋根裏部屋や食器をしまう小さな棚が沢山ある小部屋など、造りが古めかしく手入れが大変だと敬遠されなかなか買い手がつかないようだった。夫の祖母が使っていたピアノもそのままで、時々子供達が楽しそうに猫踏んじゃったを弾いていたりする。

今日はピアノが趣味のご近所に住む奥様や、バイオリンを習っている、夫の従兄弟のバイオリンの飛び入り参加で思いもかけずちょっとしたミニコンサートとなった。

バレエ曲の演奏も何曲かあり、子供の頃からバレエを習っている私は久しぶりのクラシックの生演奏にうっとりと聴き入った。

ピアノとバイオリンの音色の余韻にまだ浸っていたかった私は、寝る前に少し森の中を散歩してみようと庭に足を向けた。

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続く