新潟の実家にいる末弟からLineのメッセージが届いた。彼が勤める介護施設に入所している母の容態についてだ。


「10日間の抗生剤投与でお母さんの血尿は止まりました」


 ただし、心臓も腎臓も弱っていて「今後何かあれば看取りになります」。


 昨年の秋、日本に里帰りの際に施設を訪ねたが、寝たきりの母は、末弟が「お兄ちゃんだよ」と声を掛けても、僕が誰か分からない様子だった。


 それから半年後の今朝のメッセージ…。


「今の内に何かしてあげられることはないかな?」 末弟に聞くと、僕が送ったお小遣いの残りで「プリンならまだ食べれるから、差し入れする」という。


「えっ、プリン? 安過ぎない?」 看取りという割にふつうの差し入れだ…。


 ついでに「小さい頃の孫たちの顔は覚えているだろう」と、僕の息子2人が実家に行った時に母が撮った写真をLine で末弟に送った。


 新幹線が通る以前の、無人駅で息子2人が肩を組んでいる。背景には遠くまで広がる緑の畑。


 ふと写真を裏返してみたら、母の手書きメモがあった。


「駅のホームで。これから帰ります。小鳥が鳴いています。チョウチョも飛んで来ました」


 プリンのメッセージよ、母に届け。