(再録)山本空外さんのこと | 野球少年のひとりごと

野球少年のひとりごと

本のことを中心に、関西学生野球や高校野球のことをつぶやいています。
また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

(再録・2016.2.25既出)

午前中、月参りで岸和田の西方寺さんに参って貰う。いつものように浄土宗日常勤行集に従ってお経をあげていただく。いちばん好きな「一枚起請文」を上げていただいている途中にうっかり他のことを考えていて、気が付いたら最後の部分に差しかかっていた。読経を終えてからしばらく話して帰られる。寺町の入り口にある西方寺さんの檀家はいわゆる旧家が多く現在の市長などもそうである。例外はわが家で、三代ほども遡るとその先は判然とせず、西方寺さんの檀家になったのも父と先代との関係で、戦後になってからのものである。先代は大変に開明的な方で、自身高校の先生をしながらエスペラント語の普及に尽くし、仏教者であり著名な哲学者でもある山本空外(その書は有名で、「無二的人間空外書道の世界」という記録映画が残されている)を招き講演会を開催した。父が後半生で最も尊敬することになる、空外さんとの出会いもそれが切っ掛けとなった。空外さんも岸和田に来るたびにわが家を訪れ、父とのひと時を楽しみにしていただいたようである。父が急逝し、その翌年に独立美術の主催で大阪の天王寺美術館で遺作展を開催の折も、初日に美術館が開館する前から入り口付近で待ってられたと係の方に伺った。父が亡くなったときに9歳年長の空外さんは80歳の高齢で、しかも自坊(法蓮寺)のある京都山城から出て来られたわけだから、大変恐れ入ることであった。島根県雲南市にある空外記念館に父の絵も収蔵されている。

 

写真は、東山丘陵で撮影