(再録)湯川れい子「時代のカナリア」(集英社・1600円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2022.1.28既出)

毎晩ほど夢を見て、しかもよく覚えている。昨夜見た夢である。仕事でキャロライン・ケネディ(元駐日アメリカ合衆国大使)を訪ねることになり、その日本での滞在先である岸和田市の通称寺町筋(五軒屋町から北町にかけての)辺りを歩きながら探すが見つからない。付近のお寺の庭に出ていた住職に聞くも、まったく無愛想で教えてくれない。それを聞きとがめたのか、通りすがりの小母さんが親切にもその家まで連れて行ってくれる。部屋に案内されると、キャロライン・ケネディが対談をしていてその相手が山本和範(ホークス、バッファローズで活躍の、愛称ドラ)、しかもその対談をセッティングしテレビ撮影しているのが、昨年亡くなった(知らずに年賀状を出したら息子さんから亡くなったの知らせが届いた)映像制作会社の社長であるYさん。何という奇遇であることか。3人が大変親しく迎えてくれて、そして何よりもYさんには大変久し振りに会えて(退職の挨拶にYさんの会社を訪れて以来)懐かしくも大変嬉しかった。キャロライン(レッドソックスの本拠地ボストン、フェンウェイ・パークで愛唱される、ニール・ダイヤモンドの作曲で有名な、スイート・キャロラインは彼女のこと)もカズ山本(山本和範の愛称)も、勿論Yさんとも本当に気持ちのいいひとときを過ごせた。3人とものファンであったことも大きいが、実に気持ちのいい夢であった。

 

本の話である。今日アマゾンから届いたのが、先日の「徹子の部屋」に出演したときに紹介されていた、湯川れい子「時代のカナリア」(集英社・1600円+税)と、「週刊文春」に長きにわたって連載してきた「本音を申せば」を単行本化した(今回が最後らしい)、小林信彦「日本橋に生まれて」(文藝春秋・2200円+税)の2冊のことを。湯川れい子「時代のカナリア」は、帯に「今こそ女性たちに伝えたい!」「戦後、女性初の音楽評論家・作詞家として男社会の壁を乗り越えて走り続けた今も現役。平和で差別がない社会をめざして奔走する86歳、働く女性たちへの応援歌」とある。プレスリーやビートルズについて、彼女が発した独特で溌剌としたメッセージが、わが国の洋楽ファンに対して与えた影響は大きかったと考える。わたしなどもかなり昔から彼女の音楽評を愛してきた一人で、新聞や雑誌に載る記事を注目してきた。いつか彼女の纏まったものを読もうと考えていて果たせていない。とりあえず新刊の本書からと思っている。もう1冊の、小林信彦「日本橋に生まれて(本音を申せば)」であるが、本シリーズ「本音を申せば」は1998年に最初の巻が発行されているので、その付き合いも23年になる。小林信彦の本はもう少し遡った、1989年に「イエスタデイ・ワンスモア」を読んだのがはじまりで、これまでに70冊ほど読んでいる。印象に残っているものを上げてみる。☆☆が、「おかしな男 渥美清」、☆が、「イエスタデイ・ワンスモア」「世間知らず」「ぼくたちの好きな戦争」「日本の喜劇人」「時代観察者の冒険」「1960年代日記」「極東セレナーデ ㊤㊦」「四重奏 カルテット」「新版 私説東京繁盛記」「テレビの黄金時代」「日本橋バビロン」「丘の一族」「東京少年」(☆☆は、大変おもしろい。☆は、面白い。私的読書評価です)と多数ある。新刊書を追いかけることが少なくなって来ている(敬愛する著作家の多くが既に亡くなっていて)なかで、今もなお追いかけている一人が小林信彦であるが、彼も今年で90歳になる。本シリーズは終わってしまうが、小説やエッセイなど何でもいいからもうしばらく読みたいと思う。

 

湯川れい子「時代のカナリア」 

(目次) 第1章 90歳でもピンヒール!元気でハッピーに生きるためのヒント

      第2章 生まれたときから戦争だった だからこそ知るリアルな哀しみ

      第3章 戦後、自由な空気のなかで私は何になりたかったのか

      第4章 愛と平和のメッセージ エルビス、ビールズ、マイケルが残したもの

      第5章 「やっと」と「いまだに」の間に 戦後第一世代の思いを込めて

      第6章 ヨーコがジョンを変えたように世界を変えるのは女性です

      第7章 ダメなものはダメ! 時代に感応するカナリアでいるために

 

   

 

小林信彦「日本橋に生まれて(本音を申せば)」 若い時に、こんな人たちと知りあえたのは幸せだった。

 東京は日本橋の生まれで、和菓子屋の九代目の長男。映画は子供のころから見てきた。渥美清、野坂昭如、植木等、大瀧詠一、江戸川乱歩、横溝正史、大島渚……忘れがたい喜劇人や作家たちの横顔。

「週刊文春」連載コラム、ここに完結。

 私は家を継がなかったし、弟も継がなかった。店を他人にわたし、兄弟は別な職業についた。私はモノカキであり、弟はイラストレーターである。(……)/父は車に関する職業につけばよかったのである。私は私の好きなことをやる。作家を志したが、ラクな道ではない。でも、好きなこともやる。父も笑いが好きだったが、この世には<笑いという世界>もあるのだ。(本文より)

 

   

 

写真は、東山丘陵運動公園の遊歩道で撮影する。