(再録)土居良三「幕臣勝麟太郎」(文藝春秋・1942円+税) | 野球少年のひとりごと

野球少年のひとりごと

本のことを中心に、関西学生野球や高校野球のことをつぶやいています。
また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

 

(再録・2022.1.25既出)

午前中、月参りで岸和田の西方寺さんが参ってくれる。いつものように法然上人の「一枚起請文」を含む「浄土宗日常勤行集」を唱えていただく。私たち夫婦も経文を見ながらであるが後から唱和する。読経後、コロナ感染で岸和田の小中学校のほとんどが休校という話をされる。なかなか光が見えてこないことも。私から、母校大学野球部が昨秋の関西地区大学野球選手権(神宮出場をかけた)で仏教大学に負けた話をする。仏教大学も西方寺さんが卒業した頃までは単科大学(専門学校に近いくらいの)であったものが、最近では、社会学部や社会福祉学部、教育学部などが加わり学生数も5000人を越えた話をされる。帰られた後、捜し物があって書斎にある5本の本箱を検める。およそ1時間(本を、前後に二重に並べているので、すべてを確かめるのに)ほどで捜し物は見つかる。いずれも勝海舟に関する(その父親である勝小吉も)ものであるが、いま読んでいる「安岡章太郎集 9」(「流離譚」を収録の)に、土佐藩が中心であるが幕末の話が出てきて、その中に幕府の勝海舟のことにも触れられていて、あらためて読む気になったものである。本箱から見つけ出して来たのが、土居良三「幕臣勝麟太郎」(文藝春秋・1942円+税)と小松重男「喧嘩侍勝小吉」(毎日新聞社・1456円+税)、勝部真長 編訳「夢粋独言(現代語訳「勝小吉自伝」)」(PHP研究所・1262円+税)の3冊である。発行年を見てみると、3冊ともが1995年であるが、わたしが勝海舟に興味を持ったのもたまたまその年だと分かる。司馬遼太郎の「竜馬が行く」「坂の上の雲」「翔ぶが如く」を読んだのがその頃であり、その辺の興味から勝海舟に関するこれら3冊を購入したのだと思う。充分に本箱の中で熟成しいま甦ったわけだ。無駄そうに見えて、こういうケースが増えている。そういう意味では、本箱に大抵の読みたい本が確保されているとも言える。

 

土居良三「幕臣勝麟太郎」 長崎海軍伝習所時代から 軍艦奉行に昇るまで 勝海舟-その複雑な人物像に迫る 厳しい身分制度の中、日本の国家としての近代化の必要を痛感していた青年が、周囲の理解と支援をえて、その思想をいかに開花したか

(主な内容) 嘉永六年の上書

        長崎海軍伝習所

         その生活と留学の夢

         残留の麟太郎と木村図書

         再度の残留と島津斉彬

        亜墨利加国へ別船仕立之儀

         奉行たちと麟太郎の苦心

        咸臨丸に乗組むまで

        咸臨丸の航海

        神戸海軍操練所の興廃

        『氷川清話』の虚実

 

   

 

小松重男「喧嘩侍勝小吉」 七歳で旗本小普請組勝家の養子に入った小吉は、学問嫌いの極道者。喧嘩三昧の毎日だ。出世の道を喧嘩で切り開こうと、道場破りに生き甲斐を感じている。業を煮やした父親は、座敷牢に小吉を閉じ込め、許嫁と二人きりにする。そうして麟太郎(海舟)が生まれた―。出世を望むも叶わず、不良御家人として放蕩無頼に生き、麟太郎に自らの夢を託して生涯を終えた小吉を痛快に描く時代長編。

 

   

 

勝部真長 編訳「夢粋独言(現代語訳「勝小吉自伝」)」 勝海舟の父が遺した男の人生哲学。

 気は長く 心は広く 色薄く 勤めは固く 身をば持つべし

おれほどの馬鹿な者は世の中にもあんまりあるめえと思う。だから、孫や曾孫のために話して聞かせるが、よくよく「不法者」「馬鹿者」の戒めにするがいいぜ(本文より)

 

   

 

写真は、東山丘陵運動公園の遊歩道で撮影する。