(再録)中村 稔「現代女性詩人論」(青土社・3080円) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2022.1.5既出)

年賀状に混じり、仕事で長年にわたりご厚誼をいただいた方のご子息からの訃報が届く。わたしが広告代理店に勤めていた時代からの取引先で、メーカーに転じてからも特に映像の制作に関して一緒に仕事をさせていただいた、映像会社社長のYさんが昨年の夏に亡くなっていたことを知る。わたしより3歳年長のYさんとは、会社のPRビデオや小売店店頭用のビデオ(新製品や歳末商品のPRなどの)の制作で何回も一緒に仕事をした。ビデオの制作(撮影)で深夜に及ぶことも多かったが、いつの場合も大変楽しくストレスを感じることなど一度もなかった。実に男らしい人で、気配りも並大抵のものではなかったし、超がつくほどの義理堅さで、仕事というかその生き方(スタイル)まで真似がしたいほどであった。その付き合いは30年を超えたが、わたしの出不精(それに希代の物臭も加わり)もあって退職以来まったく会っていないどころか連絡も取っていない。年賀状のやり取りが唯一で、それも途絶えることになった。この20年ほどで大切な友人を何人か失うことになったが、Yさんとお話し出来なくなるのは大変淋しいことである。来し方のすべての時代に、わたしを支えてくれた様々な友人たち(先輩も含め)がいる。多分、「人」には大変恵まれてきたと思う。そういう方が少しずつ亡くなってゆくのは、まことに切なく悲しいことである。

 

本の話である。アマゾンから初荷が届いて開封すると、中村 稔「現代女性詩人論」(青土社・3080円)が現れる。中村稔の著作で未読のものが十数冊ある。本書は新刊であるが、本箱の中の未読の、「高村光太郎の戦後」(青土社・2860円)と併せて紹介する。

 

「現代女性詩人論」 現代詩を切り開き確立した、知性・感性に恵まれた女性たち。

 希有の知性と感性により、男性詩人たちに伍して、現代詩を切り開き、確立した女性詩人たち。現代を代表する女性詩人ひとりひとりに焦点を当て、詩集をひろく通覧し、ふかく読解・論評することで、比類なき十人十色の豊穣な世界を眺望する。

 石垣りん 茨木のり子 多田智満子 白石かずこ 新川和江 吉原幸子 高橋順子 井坂洋子 小池昌代 伊藤比呂美

 

「高村光太郎の戦後」 偉大な詩人・彫刻家高村光太郎の夢想が戦後に成就したもの。

 戦争を賛美した二人の巨人、詩人・彫刻家高村光太郎と歌人斎藤茂吉 戦後、光太郎が岩手県花巻郊外に独居して書いた『典型』と茂吉が山形県大石田に寓居して書いた『白き山』の定説を覆し、緻密な論証により正当な評価を与え、光太郎の十和田湖裸婦像の凡庸な所以を新たな観点から解明した卓抜で野心的評論。

 

 

写真は、わたしの書斎。