山田風太郎「昭和前期の青春」(ちくま文庫・880円+税) | 野球少年のひとりごと

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地域の活動をやめて、年間を通じて予定らしいもの(年に6回の岸和田市民病院への通院くらい)はなくなったし、それに伴い来客も激減したこともあり、隣の次男夫婦一家もふくめて家族全員が揃う、土曜日曜が待ち遠しいところがある。午後から、同居の娘夫婦は子供たち(もうすぐ小学校を卒業する、双子の女の子)のスマホを買いに出かけている。中学生になるのを機会にスマホを持たせるようである。進学塾も夜間になることもあり、送迎時の連絡に必要を感じたようである。これで家族全員(隣に住む次男夫婦のところの、4月から中3、高3になる男の子も含め)がスマホを持つことになった。それぞれにラインも敷かれているようで、いろいろな連絡がそれで成されるのだと思う。スマホをいちばん活用していないのは私で、出かけるとき以外は一日デスクの引き出しで寝ている(電源も入れずに)。それが承知の友人などは家の電話に連絡をしてくれる。それで充分である。

 

本の話である。本箱を整理していて出てきた山田風太郎のものから、「昭和前期の青春」(ちくま文庫・880円+税)、「ぜんぶ余禄」(角川春樹事務所・2200円+税)のことを。たいへん独特の小説家山田風太郎の本もずいぶん読んできたが、本箱には未読のものも何冊かあって、どこかで集中的に読もうかなと考えている。

 

「昭和前期の青春」 人間は不幸なときに地がねが出る。戦前の生い立ち、戦中の青春をつづり、戦時の日本人を描き出すエッセイ集。

 戦前・戦中に青春を過した山田風太郎は、太平洋戦争へ言及した文章が多く、当時の日記を刊行した『戦中派虫けら日記』『戦中派不戦日記』は名著と、評価も高い。この日記の時代を著者自ら振り返り、自身の生い立ちと時代背景に大きくある戦争に関する文章を集めたエッセイ集。「太平洋戦争私観」「ドキュメント・一九四五年五月」「二十歳の原点」「私と昭和」等、戦争を語りながら深刻ぶらず、飄然とした筆致に小説家山田風太郎の原点がうかがえる。

 

   

 

「ぜんぶ余禄」 反=老人力宣言 1945年8月15日。その日以降、僕の人生はぜんぶ余禄だ。 山田風太郎ロングインタビュー三部作、堂々完結! <帝国ツイニ敵ニ屈ス>の一行を日記に書きつけた<あの日>以降を余禄の二文字で封印した戦中派天才老人・山田風太郎が続出する奇っ怪な事件に感想を述べ、漱石、乱歩、好きな女優に思いを馳せ、21世紀日本の最大問題は天皇とゴミだと喝破しつつ、ユーモアまじりの寸鉄で人を刺す、反=老人力宣言としての最後の言葉!

……本書より

鳥の名前はみんな忘れたけれど、スズメとカラスは大丈夫だ。 山田十兵衛、今宵、酒で死す。 僕の話すことは全て、平凡極まることばかりだ。 男の子にとって母親は、綱引きの綱だね。 みんなこのごろ、往生際が悪くなったね。 大下宇陀児、木々高太郎…推理作家は五十音順に死す! 日本の潜水艦を見た途端、ヒトラーはひっくり返ったよ。 日本の顔の第一位は漱石、二位が鴎外、三位は信長だね。 山田家の家宝は、漱石、乱歩、高峰秀子の直筆だ。 僕の人生で最大の事件は、僕が作家になったことだね。

 

   

 

「イタリア」&「フランス」で描いた水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/