双葉十三郎「外国映画ぼくの500本」(文春新書・950円+税) | 野球少年のひとりごと

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また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

正月三が日を、思い切って猫たち(メラ、ロク、グレイの生後10カ月半、わが家にやって来て7カ月の雄と15歳半になる雌猫チビ)を書斎に自由に出入り出来るようにした。というのも、3匹の兄弟猫のうち体格も大きく運動神経も抜群のメラが去勢手術の前から少し凶暴になり、他の2匹を襲うようになりそれは去勢手術後も続いたために、保護の意味もありロク、グレイの生活の場を書斎に移した。メラはリビングを中心の暮らしとなったが、2匹がいるのがわかる書斎に入りたがった。試しに何回か入れ、滞在時間も少しずつ増やした結果、少なくとも私の前では襲うようなことがなくなってきた。少々冒険とも思うが、三が日(夜間、メラはリビングの椅子に敷いてある座布団で寝る、他の2匹は書斎の同様に来客用の椅子に敷いてある毛布で寝る)、ほぼ一日中書斎のドアを開放しメラの出入りを自由にしてやった結果、一度も襲うようなこともなく(当初は近くで対面したときに、グレイは少しだけ怯えた表情をし、ロクも身構えたりしていたが、徐々に慣れた)、いまも遠赤外線カーボンヒーターのまわりに等距離を取りながらであるが昼寝をしている。この2カ月ほど一緒だったロクとグレイはしょっちゅうじゃれ合っているが、それを眺めているだけのメラももう少ししたらそれに加わることができると思う。何であれすべては時間が解決するように思う。猫たちの様子は、女房のブログ「コーラスガールのひとりごと」でご確認ください。

 

本の話である。映画関係の本から、双葉十三郎「外国映画ぼくの500本」(文春新書・950円+税)と色川武大「映画放浪記」(キネマ旬報社・2000円+ぜい)の2冊のことを。刊行は、2003年、2006年。双葉十三郎「外国映画ぼくの500本」は、これも本を汚すのが嫌いなわたしには珍しく、たくさんのページで角を折るいわゆるdog earが目立つ。本書を参考に数十本のDVDを購入している。独特の作家である色川武大(「百」「遠景・雀・復活」「生家」「狂人日記」「怪しい来客簿」「寄席放浪記」「引越貧乏」「なつかしい芸人たち」「明日泣く」「ばれてもともと」などの快作多数)の映画に関するエッセイである。こちらもたいへん面白い。

 

双葉十三郎「外国映画ぼくの500本」 故淀川長治氏と並び称された著者は、本年(2003年)93歳にしてなお現役、これまで見てきた映画は優に二万本は超えるという、まさに生き字引的映画評論家。近年、外国映画約八千九百本の評を、世界にも類を見ない膨大なガイド『ぼくの採点評』全6巻に集大成し、2001年の菊池寛賞も受賞した。本書ではそれを上回る一万数千本から、「理屈抜きの面白い」という観点で選び抜いた五百本を収録。文字通り「究極のシネマガイド」である。

 

   

 

色川武大「映画放浪記」 映画への想い、永遠に 又、逢えるか、色川の兄ィと‥‥二人で話そう。(立川談志)

 直木賞作家が遺した 幻の映画エッセイ 復刻 

 色川武大が語ると、チャップリンが立ちあがり、アステアが踊り出す!

 雪山の中に放浪者の姿で現れるのが、屈託がなくてまずいい。彼はどんな環境でもこの一張羅で苦もなく現れる。ステッキによってポーズをとろうとすると、ステッキもろとも、片腕がスポッと雪の中にもぐりこみ、ひっくり返る、このスピード。(『黄金狂時代』本文より)/公園で雨宿りをしながらジンジャーに唄いかけるアステアの“素敵な雨の日”私は子供の頃、この映画を見たとき、こんないい唄で誘われたら、自分が女ならイチコロだなァと思ったものだ。(『トップ・ハット』本文より)

 色川の小説に関しては、そのすべてが奇跡的にといっていいほどいい。エッセイもまた独特の視点で語られていて、色川ファンならずともひきつけるところがある。一頃書店から色川武大の本が払底したように見えたが、こちらも時代性が関わっているのか(田中小実昌などと同様に)文庫と言う形で復刊が試みられ始めている。従って、代表作のかなりのものは読める。

 

   

 

「フランス」で描いた色鉛筆と水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/