昼前に、いつも野菜をいただくTさんがたくさんの柚子とレモンを届けてくれる。「柚子風呂に」ということで下さったわけだが、柚子とレモンはわが家と隣に住む次男のところと、女房の所属する女声合唱団で懇意にしているIさんにお裾分けして、残りのレモンは料理や紅茶に使用し、柚子はジャムをつくる予定。午後から、書斎の床に直置きの書籍を少しずつでも整理(正月に向けて)するつもりで片付け始めたが、かたとき目を離すとロク、グレイ(メラを加え、生後10カ月の雄猫3匹のうち書斎で暮す)の2匹が、変化しつつある部屋の様子に昂奮するのか片隅に寄せた本の山を崩したりして遊んでいる。14帖の書斎は、本箱の上や全集用の作り付けの棚、勿論、床に直置きの本の山も含めて猫たちにとっては、まさに「ワンダーランド」である。今日など、午前と午後の2回モップで床を掃除させられる始末。わたしがパソコンに向い始めると、ロクは本箱に沿って並べた来客用の椅子で、グレイはオットマンの下でそれぞれ昼寝をしている。普段からどちらにも専用の毛布を敷いているので、部屋を暖めている電気ストーブ(カーボンヒーター)の温かさもあって熟睡している。猫たちの様子は、女房のブログ「コーラスガールのひとりごと」でお確かめください。
今日もアマゾンから荷物が届いて開封すると、このところ集中的に読んでいる鈴木道彦の、「サルトルの文学」(紀伊國屋新書・300円)と「アンガージュマンの思想」(晶文社・1200円)が現われる。刊行年が、1963年、1969年であり、絶版になって久しいので、どちらも古本である。定価は刊行当時のもので、アマゾンに支払ったのは2冊で3000円ほど。
「サルトルの文学」 『嘔吐』以来、サルトルが歩む反俗精神の闘争を追求、実存主義文学の神髄をえぐる力作。
目 次
第1章 自由の文学
1 『嘔吐』とその周辺
2 プルースト的世界との対決
3 自由と行動の倫理
4 行動的人間と政治的人間
第2章 客体性の文学
1 他者の出現
2 私生児・男色・裏切り
3 小説から演劇へ
4 演技と行動
第3章 歴史へのアンガージュマン
終 章 自由の創造
「アンガージュマンの思想」 否認の文学か文学の否認か アンガージュマンとは何か 攻撃的知性の恢復をめざして文学の可能性を問う論考
目 次
第1部 プルーストからサルトルへ
Ⅰ プルーストの生涯と作品
プルーストの女性像
……愛の崩壊
Ⅱ 『嘔吐』とその周辺
道徳的政治文学の蹉跌
……有罪性への過程
サルトルにおける客体性と自由
……対他存在の倫理の一側面
サルトルとアンガージュマン文学
……「政治と文学」を超えるもの
建設と裏切り
十年の歴史と挫折
第2部 第三世界・ナショナリズム・暴力
Ⅰ 太陽の影
現代フランスにおける政治と文学者
アルジェリア戦争とフランスの左翼
第四共和国の運命
……ド・ゴールの神話をめぐって
停戦後の政治と思想
知識人の政治参加
アルジェリアとパリのきずな
映画『アルジェの戦い』をみて
Ⅱ 転向期の中野重治をめぐる覚え書
われらの「天皇制」
日本人にとっての中国像
Ⅲ アメリカの黒人たち
…… リトル・ロックを中心として
民族の責任
否定の民族主義
日本のジュネ
……または他者化した民族
黒い<開化民>と暴力
……フランツ・ファノンについて
あとがき
「フランス」で描いた色鉛筆と水彩によるスケッチから
「洋画家 仲村一男」のホームページ
http://www.nakamura-kazuo.jp/