(再録)片岡義男「ロンサム・カウボーイ」(晶文社・1600円+税) | 野球少年のひとりごと

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また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

(再録・2021.2.16既出)

午後から晴天、気温も9度で風もなくウォーキングには絶好の日和である。いつものように国道17号線を貝塚中央道まで出、休憩する運動公園を目指す。10メートルほどの高低差のある公園の遊歩道を1周して天辺にある四阿までの間が、家を出てからちょうど30分である。帰路は公園内の白梅、紅梅などをスマホで撮影しながら途中中央公園で少しだけ休憩し、同じく30分かけて帰る。ダウンジャケットの下にフラノのシャツを着て出かけたが、帰宅する頃にはベースボールキャップ(今日はMLBのカージナルスの)の中もシャツもたっぷり汗をかいている。約3か月に及ぶ消化器内科による各種の検査のすべてが良好で、かえって自分の身体に自信を得た感じがある。帰宅し書斎で冷たい珈琲(大阪丸福の)を飲みながらチョコレート(一昨日のバレンタインデーで同居する娘からもらった)を齧り、大音量でJBLを鳴らし(このところもっぱらボブ・ディランばかり聴いている)ながらパソコンに向かっていると、久しぶりに「多幸感」といったものが身体に漲ってくるのを感じている。ほぼ一日を読書に専念でき、あらゆるものが過不足なく揃い、心身とも元気であるいまの状況こそ幸せそのものである、と思う。

 

今日もアマゾンから荷物があって開封すると、片岡義男「ロンサム・カウボーイ」(晶文社・1600円+税)と「スローなブギにしてくれ」(角川文庫・600円+税)が現れる。片岡義男の最初期の(「ロンサム・カウボーイ」が1975年、「スローなブギにしてくれ」が1976年)いずれも短編小説集である。2冊とも刊行時に読了した筈であるが(裏に設えた読了本のための倉庫の片隅に眠っていると思われる)倉庫内の100余のパッキンと2本の本箱をあらためる気になれなくての再注文である。片岡が小説家としてデビュー間もない頃の瑞々しさに満ちたこの2冊は、片岡ファンなら必読のものである。また、はじめて彼のものに接する人にも好個のものであると思う。

 

「ロンサム・カウボーイ」 夢みたいなカウボーイなんてどこにもいない。でも、自分の心と体で新しい伝説を創りだす男たちはいる。長距離トラックの運転手、巡業歌手、サーカス芸人、ハスラー……。現代アメリカに生きる〈カウボーイ〉たちの日々を描きだした14の連作小説。昔も今もこれからも私たちは片岡義男に首ったけなんだ。およそ40年の時を経て、片岡義男ファン待望の初期作品群がオリジナル・デザインのまま復活。

 

「スローなブギにしてくれ」 夕暮れの第三京浜を疾走するムスタングから次々とほうり出される子猫。1匹拾いあげた少年は、「死ぬときはいっしょだ」と、ムスタングをしゃにむに追いはじめた……。オートバイで走ることでしか生の実感を得られない少年と、子猫に切ない愛情を注ぐ女性との出逢い。若さの倦怠を鮮やかな筆致で描き、1970~80年代に圧倒的支持を受けた片岡文学の代表作たる表題作のほか、「ハートブレイクなんて、へっちゃら」など全5作品。

 

 今日聴いたCD。

「ボブ・ディラン/ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」

「ボブ・ディラン/血の轍」

「ボブ・ディラン&ザ・バンド/ザ・ベースメント・テープス(2CD)」

 

 

写真は、東山丘陵で撮影。