E.H.カー「ロシア革命 レーニンからスターリンへ 」(岩波現代文庫・1100円+税) | 野球少年のひとりごと

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数日来、わが家の前で電信柱の建て替え工事をしている。市営プールの跡地が住宅用に造成していて、そのための工事である。きんでん(旧社名近畿電気工事)によるものであるが、高所作業用車両も含めて何台か車がとまっている。工事がはじまると、中でいちばん若い社員が命綱を頼りに電信柱の高いところで作業をはじめた。下から、先輩社員が作業のいちいちに指示を与える、ときに厳しい言い方で。するとそれに、はっきりした声で毎度「ハイ」と応える。気持ちのよいくらいの初々しさである。このようにして鍛えられて行くのだと思うが、少しだけサラリーマンとしての自身の来し方を振り返ってみたりした。最初に勤めた、女性向け通販の最大手で、ほとんど大学で習ったことなど何も役に立たないことが実感できるほどに、様々なこと(会社員としての作法まで含め)を一から教えられた。半年にわたる支店での研修後、本社の企画部に配属されたがすぐには仕事を与えられなくて、外出する上司(課長)の、「本でも読んでおればいい」の言葉を真に受けて大江健三郎の小説を読んでいたら、さすがに見かねたのか1年先輩が仕事をわけてくれた。そこで4年間を過し、出版社、広告代理店を経て30年間勤めることになる、専門家用画材のトップ・メーカーに勤めることになるのだが、久し振りに新人社員の頃を思い出させてくれた今日の出来事であった。

 

本の話である。昨日に続きロシア革命の頃に取材の、E.H.カー「ロシア革命 レーニンからスターリンへ 」(岩波現代文庫・1100円+税)と中沢新一「はじまりのレーニン」(岩波現代文庫・1100円+税)の2冊を読もうと考えて、本箱から取りだした。すべてはロシアのウクライナ侵略に絡んでのことである。ロシアとは何だろうか。

 

E.H.カー「ロシア革命」 ロシア革命研究の権威による決定版 著者が三十余年の歳月を費やして完成した『ソヴェト・ロシア史』四部作は、革命からスターリン体制の成立までを分析した第一級の専門的著作である。本書はこの研究成果に基づき一般読者のために新しく書き下ろしたもので、一九二〇年代をレーニンのロシア革命からスターリンのロシア革命への転換ととらえることにより、革命の変貌する過程を解明する。

 

中沢新一「はじまりのレーニン」 西欧形而上学を突き破る弁証法的唯物論の可能性

 よく笑い、子供や動物に触れるのを好み、音楽好きだったレーニン。彼の唯物論は、生の律動に触れる思想だった。ベーメを経由してヘーゲルの論理学に胚胎する東方キリスト教的三位一体論は、マルクスに継承される。西欧哲学の底を突き破るグノーシスとしての弁証法的唯物論の可能性。誰も書かなかったレーニン像。

 

写真は、貝塚中央道沿いにある河崎リハビリテーション大学体育館を撮影する。