ジェイン・ジェイコブズ「アメリカ 大都市の死と生」(鹿島出版会・3300円+税) | 野球少年のひとりごと

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午後3時過ぎに、日課となっている45分ほどのウォーキングに出発する。気温は28度なので、この時期としたら特別のことではない筈が、睡眠不足(昨夜は午前3時ころまで寝付かれずに)が祟り、歩く速度がいつもほど上がらない。二か所の公園(運動公園と中央公園)での休憩も多めにとる。そして、先日アマゾンで買ったスキットル(200ml)に水をたっぷり入れて、休憩時に水分補給している。公園の雑草は市のシルバーさんたちの手で綺麗に刈り取られ、そのことで木々がくっきり立ち上がって見える。汗びっしょりになって帰宅し玄関で一服の後は、冷たいコーヒー(丸福の)をこれもアマゾンで買った、二重構造・保冷保温がうたい文句のステンレス・マグカップ(300ml)で飲みながらパソコンに向かっている。

 

本の話である。いま読んでいる松山巌「本を読む。松山巌書評集」(西田書店・4600円+税)に、ジェイン・ジェイコブズ「アメリカ 大都市の死と生」(鹿島出版会・3300円+税)のことが紹介されている。内容に少し覚えがあるので、とりあえずアマゾンに注文する前に本箱を検めてみる。アメリカ関連書籍のコーナーに本書を見つける。奥付を見れば2年前に購入している。アメリカとその都市政策に関する興味からの購入だと思う。おそらく誰かの書評を見てのことだと思うが。本書に関する松山巌の文章を下に引用する。

 

待望の完訳。1961年刊行の本書はアメリカの都市計画を変えるほど衝撃を与えた。にもかかわらず既訳は前半部分だけで、読者は長らく隔靴掻痒の思いを味わってきた。衝撃を与えた訳は、それまでの、いや現在でも続く都市計画の方法と理念を徹底的に批判したからである。/例えば、あなたは便利で緑も多い郊外に住みたいと思うかもしれない。ゴミゴミした下町は高層アパートや高層ビルを建て、周囲を緑にすればと考えるかもしれない。これは「田園都市」論やコルビジェの「輝ける都市」の考え方。今なお公も開発業者もこの理念を掲げて街を一変させる。だからあなたはこの都市開発には反対かもしれない。/ジェイコブズはしかし、感情的に抗議したわけではない。アマチュアの彼女は理論に囚われない。武器は自分の暮らす街と新聞記事。街の人々の付き合い、街路で遊ぶ子どもを誰が見守るのか。車の制御は。人の集まる街路は、店舗は、他の街は。スラムにも安全な街があるのは。郊外は安全か。古い建物が混在した街はなぜ生き生きしているのか。使われない公園の立地は。大規模に開発された街はなぜ一気に廃れるのか、など克明に報告する。/彼女は街路を重視し、都市の複雑さと背後の秩序を見つめる。従来の開発はこの秩序を壊したと。と同時に本書は実践への手引書だ。現場無視の計画、法律の不備、資本の流れを考察し、提案し、市民活動への力となり、一部は常識になった。/翻訳は明快で文章も易しいが、かなり読み難い。この矛盾は分析と戦略があまりに具体的で、かえって当時のアメリカの都市をイメージし難いためだ。今後は批判を含め、本書の新解釈がなされるだろう。それほど古典としての重みをもつが、何より街の現場から問いと答えを発見する方法は受け継ぐべきだ。訳者の解説は時代背景と彼女の他の著作にも触れ、必読。

 

ジェイン・ジェイコブズ「アメリカ 大都市の死と生」 都市論のバイブル。そして地域の時代を超えた都市の原理。 都市とは、明らかに複雑に結びついている有機体である―1961年、“常識の天才”ジェイン・ジェイコブズが世界を変えた一冊。

 

 

写真は、東山丘陵で撮影する。