バス道を隔てて裏庭に面している小学校も今日から新学期で、わが家の孫たちも元気に登校した。始業式を済ませて11時半頃に帰宅してきたが、早速席替えがあったらしくそのことを母親に報告している。3学期はあっという間に済んでしまう気がするが、まだまだ寒い日が続くこともあり風邪などひかないように注意しながら、楽しい日々を過ごして欲しいものだ。
本の話である。午後からアマゾンの荷物があって開梱すると、レベッカ・ブラウンの2冊「体の贈り物」(マガジンハウス・1600円+税)と「若かった日々」(マガジンハウス・1600円+税)が現れる。レベッカ・ブラウンのことは、小川洋子「博士の本棚」(新潮社・1500円+税)で紹介されている。少し引用してみる。
「若かった日々」 翻訳家柴田元幸氏によって発見され、日本でも多くの読者を獲得したレベッカ・ブラウンの新作は、一応、自伝的小説ということになっている。確かに、少女時代に離れて暮らすようになった父親への思い、キャンプで出会ったカウンセラーとの初恋、中学の数学教師と結んだ関係、母親との別れなど、作家自身の体験に基づくと思われるエピソードで構成されている。/そかし、鮮やかすぎて胸が詰まるような描写と、ひたひたと寄せてくる文体に酔っているうち、自伝的だろうが何だろうが、そんな形式的な呼び名など問題でなくなってくる。ページをめくっている間にいつしか、彼女が作り上げた時間の海に、身体ごと浸されているのを感じるだけだ。
既に多くのファンを獲得しているようだが、わたしにとっては初めての作家である。レベッカ・ブラウンの魅力がどのように感知できるのか楽しみである。
「体の贈り物」 『この本を読者に届けたい』―翻訳者もイラストレーターも装丁者も、そして編集者も校正者も、かかわったみんながそう熱望した。 生と死、喜びと悲しみ、そして何より希望を描いた心がふるえる物語
彼の目が動いた。目は水っぽく、濁っていた。焦点を合わせようと、あまりにも頑張りすぎていた。生まれてはじめて目を開けた赤ん坊と同じに。/顔の肌がひどく薄く見えた。それから、まるでそこに光があるみたいに、輝いて見えた。何か光り輝くものの姿がそこにあった。/彼は口を開けようとしたが、開けられなかった。彼は目を閉じた。/私はベッドに身を乗り出して、両腕で彼を抱きかかえた。精一杯優しく抱きかかえた。―(「姿の贈り物」より)
「若かった日々」 レベッカ・ブラウンは、遠い日々にある流れ星のような幸福と、さざ波のように寄せる哀しみを、両手ですくい上げる。いとおしむように、許すように、そっと。(小川洋子)
子供のころの水の記憶、同性の先輩への憧憬、母の死、父との葛藤……。かつて経験した強烈な瞬間を、烈しい幻視力によって生き直したレベッカ・ブラウンの自伝的作品集
洋画家「仲村一男」のホームページ
