(再録・2013.8.24既出)
1967年に初めてヨーロッパに取材旅行にでかけた父が、パリの郊外に一軒家を借りてそこを拠点に、イタリア、スペインと足を伸ばしたのですが、このスケッチはそのパリでのアトリエとして使った部屋を描いたものです。色鉛筆でさらっと仕上げています。1年近い滞在中は、もうひとりの画家(行動美術の方です)と共同生活を送り、父が肉や魚や野菜の買出しと食後の洗い物を担当し、その方が料理を担当されたようです。近所の八百屋の奥さんとは大変仲良くなって、買物にゆくたびに野菜を手にとってフランス語での名前を教えてくれたそうです。(父はフランス語はまったく駄目ですが、身振り手振りに覚え知った単語を交えて用をなしたらしい、そのようなときにスケッチは大変役立ったようだ)お礼にと、日本から送らせた財布を差し上げたらご主人の見ている前で、抱擁されて大変困ったということを話していました。父のスケッチはたいてい油絵として仕上げられるのですが、このスケッチはメモリアルの意味があったのでしょう。油絵にはなっていない、そういう意味で貴重なものです。
「洋画家 仲村一男」のホームページ
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