(再録)北杜夫「楡家の人びと 第一部」(新潮文庫・552円+税)、「楡家の人びと 第二部」(新潮 | 野球少年のひとりごと

野球少年のひとりごと

本のことを中心に、関西学生野球や高校野球のことをつぶやいています。
また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

イメージ 1

(再録・2013.9.7既出)
私にとって、小説の生涯ベスト3に間違いなく入る北杜夫「楡家の人びと」である(因みに、他には5部作からなる臼井吉見「安曇野」、野坂昭如「1945・夏・神戸」くらいが思い浮かぶ)が、読了したのは1974年いまから39年前の28歳の頃であった。それを久し振りに再読してみようと考えたのであるが、当時に読んだ単行本は裏庭に設えた書庫の奥深くに眠っていて取り出すことが出来ない。というのも、この5年ほどに読了したものは書庫に置かれた3本の本箱に並べてあるものの、引っ越し以前のものは50冊を単位にパッキンに詰めそれが100パッキンほどあり、しかも未整理のままであるから探す気がしない。従って、3冊からなる文庫本を購入した次第である。いま読んでみてどのように感じるのかはとても興味があるが、いずれにしろ読了後にあらためて。
 
「楡家の人びと 第一部」 溢れる楽天性と人当たりの良さで患者の信頼を集めるドクトル楡基一郎が、誇大妄想的な着想と明治生まれの破天荒な行動力をもって、一代で築いた楡脳病院。その屋根の下で、ある者は優雅に、ある者は純朴に、ある者は夢見がちに、ある者は漠とした不安にとまどいながら、それぞれの生を紡いでゆく。東京青山の大病院と、そこに集う個性豊かな一族の、にぎやかな年代記の幕が上がる。
 
「楡家の人びと 第二部」 豪壮な建物の失火による焼失、圧倒的なカリスマ性を誇った其一郎の突然の死。災いが続き衰退に向かう楡病院に、気位高く君臨する基一郎の長女・龍子、二代目院長を引き継いで病院経営と家庭不和に悩む夫の徹吉、不幸な結婚で落ちぶれる龍子の妹たち、浮世離れした弟たち。時代は大正から昭和に変わり、軍国主義の風潮が広がる中で、一族それぞれの運命は大きく分岐し変転する。
 
「楡家の人びと 第三部」 遂に太平洋戦争が勃発。開戦時の昂揚も束の間、過酷さを増す戦況が一族の絆を断ち切り、大空襲は病院を壊滅させる。敗戦に続く荒廃の季節、残された者には、どんな明日が待っているのか-。人間のささやかな毎日の営み、夢と希望、苦悩と悲嘆、そのすべてが時の流れという波濤に呑み込まれ、「運命」へと変貌してゆくさまを、明治から昭和への時代変遷を背景に描きあげた一大叙事詩。
 
 

「洋画家 仲村一男」のホームページ
  http://www.nakamura-kazuo.jp/