そうとは露にも思わず、明高は怒りと、悲しみと、喪失感で蒼白な顔をしていた。
何故実光に抱かれているのが自分ではないのか、何故実光は自分を最後の最後で裏切ってしまったのだろうか、目を逸らすことすらできない実光の嬌態(きょうたい)にいつの間にか己の象徴が痛いほど固く立ち上がっていた。
しかし明高はそれすら気が付かないほど、心の痛みが全身を駆け巡っていた。
 
「なぜに・・なぜに・・ああぁ。」
 
心の痛みは涙をとして頬を伝い落ち、嗚咽が口をこじ開けて漏れだしたのだった。
 
「そなたをかように悲しませるとは、実光も罪な奴じゃ。どれ、吾が実光以上に慰めてやろうぞ。幸い、吾の物も準備に余念がないらしゅうてのぉ。」
 
そう言うと明高の外耳をベロリと舐め挙げながら着物の裾をたくし上げ、欄干に両手を縄で括り付けると双丘の間に杭をねじ込むように押し入れ始めたのだった。
不意を突かれた明高の体は、ゾゾゾッとする寒気と同時にメリッメリッと引き裂かれるような痛みが全身を駆け巡った、痛みに耐えきれず上げた悲鳴が館に響いたのだった。
 
「良いのぉぉその声、さぁ啼け、叫べ、吾が心行くまで可愛がってやろうぞ。そら、実光もかように腰を振っているではないか、そちも享楽に浸るが良い、これを飲めば吾の物が貫いた痛みなど吹き飛び、至極の快感が得られるぞよ。」
 
盃に注いでいた液体を口に含むと明高の顔を掴んでその口の中に流しいれ無理やり飲み込ませると同時に、一気に奥まで突き入れ激しく打ち付け始めたのだった。
結合部分から強烈な痛みが身体を駆け巡りその度に悲鳴が上がる、悲鳴を上げればその男が盃から酒を口移しで飲ましニヤリと笑った、その顔が震えが出るほど気持ちが悪い、しかし身体の方はいつの間にかその男の入れたものを悦び始め、動かれれば腹の底から欲望がうねうねと這いあがってくるようだった。
池の向こう岸では、実光が相変わらず激しく腰を打ち付けている、それをぼんやりと見ながらいつの間にやらその動きに合わせて明高の腰も動いていた。
 
「ああぁ雪信さま・・もっと・・もっと奥へ・・欲しい、欲しいああぁ、もっと突いて下され・・・。」
 
飲まされたものには、何かが混ぜてあったのだろう明高の頭の中は霞、情事からくる快楽は数倍に膨れ上がり明高の体を蝕んでいた、享楽に全身が打ち震え、だらしなく口からはよだれが垂れ続けていた、幾度となく果てては、幾度となく求める、正体がなくなるほど明高は享楽に溺れて行きそのまま意識を飛ばしてしまったのだった。