「着いたー!!なぁ早よう外出て景色見よう!!」







まるで子供のように私をせかす彼、








二人で並んで観る景色、どんな景色よりも絶景なこと間違いない。







「めっちゃ綺麗やろ。俺、絶対一緒に観とうて。ずっとずっと今日を待っとたんや。ほんまは、いつだって一緒にいたいんや。そやけど・・・わかっているんや。」







そう言って彼は後ろから私を抱きしめた。







「なぁ、キスしたらあかん?」耳元で彼が囁く。













「だめ。キスしたら。」







本当は、私のほうから、彼にキスしたい。彼に抱かれたい。彼に抱かれたくて身悶えしているでも、ここで踏ん張るの、とってもずるい女。





彼が私から離れられるように、あとくされない関係でいたいの。









首元にキスする彼、







「なんで、俺こんなに好きやのに。」







「私も、好きよ。だから、会ってるの。困ったクンにならないでね。」







「ずるいわ。俺の気持ち全部わかっとるくせに、なんで答えてくれへんの?俺とそんな関係になるのそんなん嫌なん?」










「そんな関係にならないから、いいの。私、家庭持ちでしょ。」







「そんなんわかってるよ。」










ちょっと怒っている。彼。そんな彼を、今度は私が抱きしめる。







「こうやっているだけでも、貴方の温かさや、におい、大きさそして、心臓の音、全部伝わってくるわ。私は、それで十分なの。貴方は、不十分なんだろうけど。」







彼も、ぎゅっと抱きしめ返してくる。力強くて、荒々しくて若い彼の想いがいっぱいに詰まった抱擁、狂おしいほどの欲望を秘めた抱擁。










いつか、必ず彼は私から去っていく、その時にあとくされのないようにしていたい。もしも、彼に抱かれたなら、私は彼を送り出すことが出来ない。きっと、全てを投げ出してでも、彼を追ってしまう。これは、私のため。










「ねぇ、お腹空かない。そろそろお昼よ、どこかで食事しましょう。」







「ほんまや、お腹ぺこぺこや。どっか食べいこっ。」










ハッピーエンドのない私たちの恋愛は、まだ進行中。