オリジナル小説 プラトニック | ココロころころ、今日は何色
恋は、いつ何処で始まるかわからない。
私と彼も・・・・。
私と彼は、10以上年が離れている。私には、もちろん夫と子供がいる。
夫には別に何の不満も無い、子供もかわいい、普通のどこにでもいる家庭を持つお母さん。
でも、彼とであって、女の私が目覚めてしまった。
不倫-そうなのかも、否、不倫なことに変わりは無い。
私は彼の前では、一人の女になっているのだから。
「ねぇ、今日どこ行こっか。俺、今日くんのすっげー楽しみだったんだ。」
屈託のないかわいい笑顔、本当に子供のような彼、私の心の奥で心地よい音が鳴る。
「そうね、遊園地みたいなとこは、嫌だな。それに、あんまり時間もないから、できるだけ時間のかからないとこがいいな。」
「そういうと思った。」少し寂しそうな彼の顔、(しかたないじゃない。)心で彼に言う。
「でもね、いいとこ見つけたんだ。車で30分ぐらいのとこに、絶景ポイントがあるんだ!!そこ行こうよ」
ちょっと甘えるような声で、私を促す彼、断わる理由なんてなんにもない。
「いいわよ。で、車ってどこにあるのかしら、私、車では来てないわよ。」
にんまり、笑う彼、
「ちゃんと、レンタカーしときました。運転お願いしマース。」
「まったく、そこが狙いか。私、運転は出来るけど、場所は君しか知らないでしょ。ナビしっかりお願いね。」
「ナビ付いてる車にしてるにきまってるでしょ。」そーでした。
車の中では二人きりになれる、いつもよりテンションが上がっている。ごめんね。
私・・・。
「さぁ、行くわよ。シートベルトちゃんとしてね。こんなことで捕まるわけいかないんだから。」
ドライブ中、嬉しそうにはしゃぐ君の横顔を盗み見しながら、目的地まで車を走らせる私。
一緒にいられるこの時間だけは、家族のことを忘れて彼だけに想いを募らせることができる。
あと少しで目的地。
「着いたー!!。ねぇ早く外出て景色見ようよ!!」
まるで子供のように私をせかす彼、
二人で並んで観る景色、どんな景色よりも絶景なこと間違いない。
「すっげー綺麗だろ。俺、絶対一緒に観たくて。ずっとずっと今日を待ってたんだ。ほんとは、いつだって一緒にいたいんだ。でも・・・わかっているんだ。」
そう言って彼は後ろから私を抱きしめた。
「ねぇ、キスしたらだめ?」耳元で彼が囁く。
「だめ。キスしたら。」
本当は、私のほうから、彼にキスしたい。彼に抱かれたい。彼に抱かれたくて身悶えしているでも、ここで踏ん張るの、とってもずるい女。
彼が私から離れられるように、あとくされない関係でいたいの。
首元にキスする彼、
「どうして、俺こんなに好きなのに。」
「私も、好きよ。だから、会ってるの。困ったクンにならないでね。」
「ずるいよ。俺の気持ち全てわかっているくせに、なんで答えようとしてくれないの?俺とそんな関係になるのそんなに嫌なの」
「そんな関係にならないから、いいの。私、家庭持ちでしょ。」
「そんなのわかってるよ。」
ちょっと怒っている。彼。そんな彼を、今度は私が抱きしめる。
「こうやっているだけでも、貴方の温かさや、におい、大きさそして、心臓の音、全部伝わってくるわ。私は、それで十分なの。貴方は、不十分なんだろうけど。」
彼も、ぎゅっと抱きしめ返してくる。力強くて、荒々しくて若い彼の想いがいっぱいに詰まった抱擁、狂おしいほどの欲望を秘めた抱擁。
いつか、必ず彼は私から去っていく、その時にあとくされのないようにしていたい。もしも、彼に抱かれたなら、
私は彼を送り出すことが出来ない。きっと、全てを投げ出してでも、彼を追ってしまう。これは、私のため。
「ねぇ、お腹空かない。そろそろお昼よ、どこかで食事しましょう。」
「そうだね、お腹ぺこぺこになっちゃった。どっか食べにいこっか。」
ハッピーエンドのない私たちの恋愛は、まだ進行中。