今回は…
慢性腎臓病と
腎結石(後日尿管結石に移行)(猫)です
この子は6歳の室内飼育のネコ
です。
もちろん体調不良などの症状はありません。血液検査で【クレアチニン】と【SDMA】が高くなっています。両方とも腎機能が低下すると上昇してくる値ですが、【クレアチニン】が上昇しているので残念ながらこのネコちゃんの腎臓は2~3割しか機能していないことになります![]()
このように病気はだいぶ進行してきているのに症状が全くないことは動物の場合はよくある話です![]()
慢性腎臓病は残念ながら完治する病気ではありません。食事やお薬
を投与して進行を遅らせる事がメインの治療になります。
また、腎結石についてはエコーでも目立つ尿管の拡張もなく、尿検査でも炎症細胞は認められないため特に悪さはしていないと考えられます![]()
腎結石ってもちろん普通はないのですが他の検査のために腹部レントゲンなどを行った際に偶然見つかる
こともあります。特に悪さをせずにそのまま何事も起こらず過ごせることも珍しくありません。
ただ…結石が腎臓から膀胱に向かう、【尿管】に入って詰まってしまうと途端に命に係わるほどの状態を招いてしまう事があります![]()
このネコ
ちゃんの場合はペットドックを受けていただいてから約3週間後、急な食欲不振と嘔吐の症状が出てきました
このような症状ですと通常は胃腸炎などを疑うのですが
この子の場合は腎結石がある事がわかっていたのですぐに血液検査とエコー検査を実施しました。すると…
腎臓の値が急激に悪化していました
また、エコーでも前回なかったような異常所見(おそらく尿管が閉塞したために拡張した尿管)が認められました![]()
結局このネコちゃんは高度動物医療センターに受診した後手術を行うことになりました![]()
もしペットドックを行っていなかったら…場合によっては胃腸症状のため胃腸炎の対症療法を行い尿管閉塞の発見が遅れもっと重篤な状態になっていた可能性があります。(もちろん色々な可能性を考えできるだけ始めの時点で詳しく検査するように心がけていますが)
結局、病気の進行により大手術を受けていただく事になりましたが腎結石の存在が事前にわかっていたため早い段階で2次病院へ紹介することができた一例です。
このネコちゃんは6歳ですが結構大変な病気が隠れていました。28年間獣医として診療にあたってきましたが、症状が出た時にすでに病気が進行していたり、末期の状態で手の打ちようがなかったり、こういったことを何度も経験してきました![]()
繰り返しになってしまいますが、
ペットドックは病気の早期発見早期治療につながってくれます![]()
ペットたちの元気で長生きに必ず役立ってくれます![]()
年齢に関係なくできるだけ年1回はペットドックを受けてあげて下さい![]()
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