恋の雨の降る音が駅の足音にかさなり、連なり乱れる想いが雑踏に掻き消されてゆく。誰しもが胸のうちに色々なものを抱えて歩いている。

夜の街の影に恋のさみしさをおぼえて、誰かを頼ろうにも他の人で満たされるものではない。このままずっと一人かもしれないとよぎる。

雨上がりに見上げる白い空の街に彼女の故郷の理解を想い、同じ街に住む人々のこの十字路の往来の中に人の縁の不思議を感じて、時の神のはからいを遠くに直観する。

心の故郷では、黄金の稲穂と山の紅葉、田舎の季節の移り変わりが二人で暮らす幸せの年月をおおらかに彩ってくれる。そんな未来を夢見ている。