目に痛いほどの緑は肥沃な森林。

農道を登り、行き着いた先は、赤い三角屋根の小さな建物でした。



「オータさんは、今回”スーパーエグゼティブプロヂューサー”ですよ」

などと、奥芝氏が私に言う。


「沢尻エリカの元旦那さんみたいだね!あはははっ」

なんて、気楽に笑ってた私だったのですが―――


「ねえ、奥芝君、私は”スーパーエクセレントプロヂューサー”だったよね?」


「ええ、”ハイパーメディアプロヂューサー”でしたっけ?」


草むしりをする我ら二人。


そこに、どしんと子馬が奥芝氏に顔をぶつける。


「いや~~、こいつは寂しがり屋で……」


「いや、何故、カレー屋に馬がいるんだ?そしてなんで草をむしりをして

馬に僕らは餌をやってるんだ?」


ギラギラ太陽が揺れる炎天下の中

ひひ~~~んと、可愛い子馬が鳴いている。


かっこいい言葉に、半分騙された感じはするのは、さて置き―――


奥芝商店、新プロジェクトが始まります!

わお!



ゴールデンウイークだったか?

奥芝商店の面々が揃った、ボトムカフェでの事。


奥芝氏はもちろん、店長の佐藤氏、東京の田代氏とかいて

やんやと話していたわけです。


少しご機嫌な奥芝氏。


そこで、新プロジェクトを私に言う。


「今回はオータさん!”トータルグレートプロヂューサー……(以下略)として

新店舗の指示をですね、だして頂きたいと思うんです!」


「おお!やっと楽をさせてくれるんだね!しかも何かカッコよいぞ」


「あははっあははっ!」


こういう話は酒の席で、しかも夜にするのは良くない。


学生の頃、夜中に一人で盛り上がって書いた作文。

朝、読み直すと……、顔が真っ赤になるような事を書いた記憶は

誰しも経験があるかと思いますが

それは今回のケースにも当てはまりました。


どんどん話が壮大になってきて

ワケが分からなくなって来るのですが

奥芝氏が「馬」とか「コテージ」とか言ってる時点で

気がつけばよいのに私もゲラゲラ笑って話をしていたのも

悪かったかなと。


この時はまだ、話半分だったんです。私の中では。


しかし、奥芝氏。


周知の方、ご存知の通り、行動力がハンパではありません。

北海道一周マラソンしたり、海外で井戸を掘ってきたり。


いやはや、こんなに早く動き出すとは

思いもしませんでした。


6月の某日。

奥芝氏と私は、新しい候補地(この時点で決定してましたが)に

視察に行くのですが


カレー屋になる店(建物)の軒先につながれて、我々を出迎えたのは

かわいい子馬さんでした。


今回は、かなり……カントリーなカレー屋さんになりそうです。


ぶひひぃ~~~ん!