予期せぬ連鎖
奥さま聞いて下さい・・・。
愚かな私を笑って下さい・・・。
そして私を叱って下さい・・・。
「○○くん・・・黒孔雀なの?暴走族なの?(詰問)」
Y美は逃げていった男の捨てぜりふの中にあった「暴走族」という
言葉に対して過敏な反応を見せました。いきなり私に詰問口調で
問いかけます。
「え・・・いや・・・今は違うけど・・・(狼狽)」
「じゃあ“元暴走族”なの?」
「う・・・ん・・・そういうことになっちゃうかな(困惑)」
「なんでそんな大事なこと・・・隠してたの??」
「いや・・・別に隠してたわけじゃ・・・」
奥さま・・・確かに暴走族は世間に迷惑をかける存在です。けっして
賞賛されるものではありません。世間の多くの人々が敬遠する不良
分子でしょう。当時の私もそれくらいの現実は理解していました。
しかし私がY美と出会ったのはハンニバルというディスコです。お世辞
にも真面目な場所とは言えません。暴走族ほどの「暴力性」は見られ
ないとはいえ、それなりに遊びを知った若者が集まる場所です。Y美
だってそれなりに遊びを知った女性であることは疑う余地はありません。
そんな彼女が「暴走族」に関係があったということだけで、必要以上に
私の評価を変えることは非常に奇異に感じられます。
しかしY美の目は極めて真剣でした。
「黒孔雀にいたっていうのはホント?」
「う・・・ん・・・まぁ・・・」
「いつまでいたの??どれくらいいたの??」
「・・・それってそんなに重要なことなの?」
「すごく重要!(ピシャリ)」
「なんで黒孔雀の名前なんて知ってるわけ?」
「色々事情があるのっ!(ピシャリ)」
「・・・事情ね(当惑)」
「でもいいわよ。言いたくないなら(淡々)」
「いや、別に隠すことでもないし・・・1年のときからこないだ卒業するまで・・・かな」
「高校時代はず~っとなんだ・・・」
「でも、受験のために3年生の途中から顔出してないよ」
「それって正式に辞めたわけじゃないんでしょ?」
「うん・・・まぁ・・・」
「まだメンバーの人とかと仲いいの?」
「最近会ってないけど・・・けっして仲悪くはないな」
「そうなんだ・・・(落胆)」
Y美は私の説明を聞けば聞くほど、明らかに落胆していきます。
いったいどういうわけなのでしょうか。
「あ、あのさ・・・俺が最近まで黒孔雀にいたのは否定しないけど・・・」
「・・・・・・」
「それがそんなに大きな問題なの??」
「・・・・・・」
「Y美ちゃん、これってそんなに悪いことなの??」
「・・・うん・・・最悪」
奥さま・・・「最悪」とまで言われてしまいました。確かに暴走族は世間の
邪魔者ではありますが、会ったばかりで・・・しかも気になっている女性に
面と向かってここまで言われてしまうと、私もどうしてよいものかまったく
わからなくなってしまいます。私は狼狽するあまり何も具体的なアクション
を起こさぬまま、ただ彼女の動向を見つめるだけになってしまいました。
後ろではただならぬ気配を察してか、ケンイチたち3人が黙って状況を
見守っています。
「だって・・・よりによって黒孔雀でしょ?」
(どんな印象持ってるんだ?)
「・・・うん・・・まぁ」
「私・・・暴走族って大嫌いなの」
「・・・・・・」
(やばい・・・汗)
「黒孔雀ってすごく評判悪いから一番嫌いなの」
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・評判悪いってどういうこと?」
「とにかく嫌いなのっ!」
「そこまで言うなら・・・ちゃんと説明くらいしてくれよ・・・」
「だって嫌いなんだもん」
「だから・・・言われっぱなしじゃ俺もワケわかんないよ」
「・・・・・・」
「Y美ちゃんっ!!」
Y美は下を向いて黙ってしまいます。彼女が暴走族を嫌っているのは
わかりましたが、その口ぶりからするとまったく無関係の世界に身を
置いていたのではなさそうです。もしもまったく暴走族とは無縁の生活
を送っていたのなら、黒孔雀という固有名詞にこれほど過剰反応をする
はずがないからです。
「ねぇ、Y美ちゃん!俺のこと嫌いでもいいけど・・・事情くらい教えてよ」
「○○くんのことを嫌いってワケじゃないけど・・・」
「だったら余計に教えてほしいよ・・・俺困っちゃうよ(汗)」
「・・・・・・」
「ねぇっ!!」
「・・・・・・」
再びY美は下を向き、身を固くして黙り込んでしまいました。ふと気づくと
あれほどざわついていた周囲は、いつのまにか人まばらになり、私たち
だけがポツンと取り残される格好になっていました。
「Y美は言いにくいだろうから、私が代わりに言うよ」
すぐ後ろにいたK子がいきなり会話に割り込んできました。Y美は相変わ
らず黙り込んだまま。K子の言葉を頷くでもなく拒むでもなくただ下を向いて
います。
「K子ちゃん・・・事情を知ってるの?」
「まぁね。どうしても知りたいっていうなら簡単にだけど教えてあげる」
「どうしてY美ちゃん本人は言いにくいの??」
「だから・・・それも含めて今から私が教えてあげるよ」
「う、うん・・・(汗)」
「あんまりY美を責めないであげてよ」
「別に・・・責めてるつもりは・・・」
「結果的には責めてることになってるのっ!!」
奥さま・・・最初に私のことを「暴走族」だと責め立てたのはY美の方です。
私はただ、事情がまったく飲み込めないからこそ彼女に説明を求めた
だけなのです。それを咎められてしまっては、ますますどうしてよいものか
わからなくなってしまいます。
「Y美に彼氏がまだいるのは・・・さっき本人から聞かされたでしょ?」
「・・・うん」
「どんな人かはY美から聞いてる?」
「いや・・・あんまり・・・」
(根掘り葉掘り聞くもんじゃないでしょ)
「このコ・・・もうとっくに気持ちは冷め切ってるんだよね」
「・・・・・・」
「もう彼氏のことは好きじゃないし、別れたがってるのよね」
「・・・Y美ちゃん、そうなの?」
「・・・・・・(無言)」
「彼がけっこう暴力振るうのよ・・・Y美に」
「マジかよ・・・それはまずいだろ(憤慨)」
「昔はそうでもなかったんだけど・・・最近特にひどいのよ」
「・・・・・・」
「Y美が別れようって言い出すと・・・暴れだしちゃうんだってさ」
「ひでぇな・・・」
「ひどいでしょ?」
「マジでひでぇ・・・」
「その彼氏も・・・暴走族なのよ」
「・・・えっ!?」
「その関係で1年くらい前に彼氏・・・ボコボコにされちゃったみたいなんだよね」
「そ、そう・・・なんだ」
「それ以来、なんかいらいらするたびに・・・Y美にまで手を上げるのよ」
「最悪じゃん・・・」
「最悪でしょ?」
「マジ最悪だよ・・・」
「彼氏のチームが黒孔雀っていう大きなところに負けたんだってさ」
「・・・黒孔雀に???」
奥さま・・・変です。その当時は私も黒孔雀に籍を置いていましたから、
他チームとの大きな抗争があれば、当然耳にしているはずです。その
時期に大きな揉め事があったとは聞いていません。
「俺・・・黒孔雀にいたけど、そんなケンカ知らないぞ?」
「黒孔雀そのものにやられちゃったわけじゃないらしいよ」
「どういうこと?」
「なんか黒孔雀関係で揉めて、バックのヤクザから殴られたみたい」
「・・・・・・」
「Y美にしてみれば、暴走族の男はもう懲り懲りなわけ」
「・・・・・・」
「嫌な思いをするきっかけになった黒孔雀は憎たらしい存在ってこと」
「・・・・・・」
奥さま・・・私は嫌な予感を覚えました。まさかとは思いますが・・・。
「ね、ねぇ・・・彼氏ってちなみにどこのチーム?」
「なんだっけ・・・私、詳しくないから忘れちゃった・・・」
「Y美ちゃんならわかるよね?」
「・・・・・・」
「Y美!なんていうところだっけ?ゴメン忘れちゃった」
「極走会・・・(ポツリ)」
「そうそう!キョクソウカイ!思い出したっ!」
「それ・・・マジか(動揺)」
「○○くん、やっぱりなんか知ってるわけ?」
「い、いや・・・(動揺)」
「知ってるなら教えてよ」
「彼氏って・・・極走会の幹部だったりするのかな・・・?」
「ううん、違うはず。2歳年下だし・・・まだ下っ端だよ。Y美そうだよね?」
「・・・う・・・ん」
「極走会と揉めた話・・・俺、知ってるかもしれない」
「○○くん、関係してたの?」
「むしろ黒孔雀というよりも・・・俺と揉めたというか・・・」
「・・・どういうこと?(怪訝)」
「彼氏がヤクザに殴られたのは俺のせいかもしれない・・・」
「それホント?」
「うん・・・(困惑)」
今回はここで締めさせて頂きます。
またのご来訪を心よりお待ちしております。
だって・・・悔やむことばかりですから・・・。
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