聞いてはいけない | 奥さま聞いてよ!妻を愛す恋愛体質夫の生活      変なタイトルだけど意外にも長編私小説なのです

聞いてはいけない

     

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奥さま聞いて下さい・・・。

幼かった私を笑って下さい・・・。 

そして私を叱って下さい・・・。 

    

 


 

 

「まさか・・・私のこと??」

 

目 

「えっ!?」 

 

  

 

 

奥さま・・・どういう意味でしょうか。Jのこと・・・彼女に何か大きな秘密

あるという意味に受け取れます。

 

 

  

 

 

 

DASH! 

「私のこと・・・Y田さんのことと・・・一緒に聞いたんでしょ?」

  

叫び 

「え・・・いや・・・ちょ、ちょ・・・(動揺)

 

むかっ 

「もうわかってるんでしょ?私のこと・・・」

 

あせる 

「ど、ど、どういう意味??」

 

むかっ 

「ウソつかないでっ!知ってるんでしょ?」

 

汗 

「ちょ、ちょ、ちょっと待った!・・・Jちゃん落ち着いて!」

 

むかっ 

「・・・何よっ!」

 

 

 

 

  

 

 

Jは明らかに興奮しています。そして明らかに私が何かを知っているものなの

だと誤解しきっています。私はJがなにを言わんとしているのかさっぱりわかり

ませんでした。なぜこんなにも興奮してしまったのかさえ理解できませんでした。

 

 

 

 

  

 

あせる 

「ちょっと・・・Jちゃん・・・マジで落ち着いてくれよ・・・」

 

DASH! 

「・・・・・・」

 

 

「俺・・・君が言うようなこと・・・なんにも聞いてないし・・・知らないよ」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「俺が聞いたのはホントにY田さんのことだけだし・・・なんのことだかまったく・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「ホントだよ・・・誓うよ・・・」

 

DASH! 

「ホントに・・・?」

 

 

「うん・・・ホント・・・ワケわかんないよ・・・俺」

 

 

「そう・・・じゃあ・・・私の早とちりだったんだ・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「ごめん・・・じゃあ・・・忘れてもらっていい?今のことは・・・」 

 

 

「うん・・・(怪訝)

 

 

  

 

 

 

 

急に興奮したり急に冷静になったり・・・彼女の態度は明らかに変でした。

しかし、私への誤解が解けると、彼女はそれ以上自分のことを語ろうとは

しませんでした。私もなんとなく触れてはいけない話題のような気がした

ので、敢えてそれ以上突っ込もうとは考えませんでした。不自然な彼女

の態度に大きな好奇心が湧き起こったのは確かです。しかし、彼女の

意に反して無理に秘密を聞き出そうとすると、根本から私と彼女の関係

が崩壊してしまうような予感があったのです。それは絶対に避けたいこと

でした。 

 

 

  

 

 

 

 

「なんだかごめんね・・・すっきりしなくて・・・」

 

 

「いや・・・」

 

 

「興奮してごめんなさい・・・」

 

 

「いや・・・俺も気配りが足りなかったから・・・」

 

 

「・・・・・・(沈黙)

 

 

 

 

奥さま・・・非常に気まずい空気が流れています。私はこのタイミングであまり

長く会話を引き伸ばすのは良くないと考ました。用件を再度まとめて、すぐに

電話を終わらせようとしました。

 

 

  

 

 

  

「さっきは俺の言葉足らずで申し訳なかったけど・・・」 

 

 

「・・・・・・」

 

 

「受験が終わるまではY田さんが変な気を起こさないことが第一だから」

 

 

「うん・・・」

 

 

「俺が謝って・・・彼の自尊心が満たされるならいくらでも謝るつもりなんだ」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「変な差別意識なんかじゃなくて・・・あくまで戦略っていうか・・・」

 

 

「・・・・・・」

  

 

「正直・・・腹に据えかねる部分はあるけど・・・」 

  

「・・・・・・」

 

 

「謝って・・・ことが無難に進むならそれもアリかなって・・・」

 

 

「嫌じゃないの?」

 

 

「謝ることが?」

 

 

「うん・・・」

 

 

「そりゃあ・・・かなり抵抗あるよ・・・でも・・・」

 

 

「でも・・・?」

  

「こんなことくらいで、君の受験が無事に済むならお安い御用だよね」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「っていうか・・・俺自身の受験も無難に済ませたいしさ・・・」 

 

 

「そうだよね・・・」

 

 

「うん・・・現実問題として・・・そうなんだよ」

 

 

 

 

  

 

 

何とかJには私の意図するところが伝わって理解してもらえたようです。

 

 

 

 

 

 

 

「でさ・・・Y田さんと2人っきりで会える時間が必要なんだけど・・・」

 

 

「2人っきり・・・」

 

 

「そう・・・君もいない状態で・・・他の人もなるべくいない場所がいいかな」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「絶対に変な揉め事にはしないから・・・」

 

DASH! 

「またケンカになったり・・・彼を刺激したりしない?」 

 

 

「だから・・・!むしろその逆だよ・・・そういうことが起きないようにするため」

 

DASH! 

「絶対??」 

 

 

「絶対!・・・俺は今回完全に自分の心を殺して演技するって誓ってるから」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「信じてくれよ・・・」

 

 

「・・・わかったわ」

 

 

 

  

 

 

私の必死な口調を信用したのか、JはY田の職場の場所を教えてくれました。

さらに平日夕方以降の時間帯で、必ず講師をしている大学に通勤している

時間帯を教えてくれました。彼が受け持っている夕方以降の遅い時間帯の

講座は、週に2コマありました。その直後に待っていれば会える可能性が

高いと言えます。ただし、彼には彼の都合もありますから、大学で待ち伏せ

するにしても、周囲に怪しまれないようにしなくてはなりませんし、声をかける

タイミングも、周囲に人がいないことが確実な瞬間に限られます。彼の日常

生活に土足でズカズカと上がりこんではいけない・・・まだ未熟な高校生の

私ではありましたが、直感的にそう思ったのです。 

  

 

 

 

 

 

「じゃあ・・・もしも彼と会えたら・・・その晩に必ず電話して知らせるよ」

 

 

「うん・・・お願いします」

 

 

「絶対に心配するようなことはないから・・・」

 

 

「うん・・・」

 

 

「万が一罵倒されても・・・殴られても・・・」

  

「・・・・・・」

 

 

「俺はひたすら謝る機械に徹するから・・・」

 

 

「なんだか・・・ごめんね・・・」

 

 

「・・・なんで?」

 

 

「なんか・・・私のせいで余計な気を使わせちゃって・・・」 

 

 

「いやいや・・・これは俺自身の問題でもあるからさ・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「謝る必要なんかないよ・・・それよりレッスンに集中してくれよ」

 

ドキドキ 

「うん・・・ありがと・・・」

 

 

「じゃあ・・・また・・・」

 

 

「うん・・・また・・・」

 

 

 

 

 

 

ガチャッ!!

  

 

 

 

 

 

 

電話を切った私は深くため息をついて考え込んでしまいました。Jが話して

くれなかった秘密がいったい何なのか・・・やはり気になってたまりません。

 

Y田の出自について触れたあたりから、彼女は急に興奮し始めて冷静さを

失ったように思います。話の流れからいって、彼女もY田と同じ出自なのだ

ろうか・・・私はそんな想像をしていました。

 

しかし・・・だからといって何か関係があるのでしょうか。彼女がどういう出自

であろうと、彼女の魅力には何ら変わりもなく、彼女の能力や人間性には

まったく無関係です。私の恋焦がれる心にかわりがあるはずもありません。

 

でも・・・私は何かふっきれないもやもやしたものを感じざるを得ませんでした。

もしも彼女がY田と同じ出自だったら・・・。普段から周囲に流されて軽率な

差別感情を抱いていた私が、そのままの気持ちでいられるでしょうか。

 

何よりも私はそうした出自の人物と深くかかわったことがそれまで無かった

ため、どういう対応をすれば良いものか、どう付き合っていくべきか、大変

迷うところでした。

 

もちろん本来は何も考える必要などないのです。何も特別視する必要など

ないのです。普段どおりにそのままの接し方をすれば問題ないはずです。

しかしながら当時の私はあまりに無知でした。無知なゆえに余計な気を

回してしまい、色々と想像をめぐらせてしまっていたのでした。

 

まだJの秘密がどういうものなのかまったく知りもしないうちから、私の心の

中はどす黒いもやもやしたものでいっぱいになっていました。情けないこと

です。無知と未熟さとは恐ろしいものです。

 

 

 

  

 

 

ビックリマーク  

「ちょうど明日はY田に会えそうな日だな・・・」

 

 

 

 

 

私はJから聞いてメモをしたY田の予定を眺めながら、そうつぶやきました。 

 


 

続きは次回にさせて頂きます。

またのお越しを心よりお待ち申し上げております。




だって・・・いまだに胸が痛みますから・・・。 

 

  

  

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