本会議で郵政の株式売却凍結法案に対して民主党を代表して質問をさせて頂きました。新人にはめったにない大役。

緊張して早口になってしまい、やじで「早くてわかんねえぞ」などといわれてしまいましたが、なんとかがんばり通しました。



少し長いのですが、以下が質問内容です。
民主党の奥野総一郎でございます。民主党・無所属クラブを代表致しまして、「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案」について質問させて頂きます。
一年生の私に質問の機会を与えて頂いたことに感謝いたします。郵政事業は、郵便局ネットワークを通じて、郵便、貯金、保険の3事業そしてさまざまな公的なサービスを、独立採算で、全国あまねく提供して参りました。3事業一体、税金の投入なく事業を維持する郵政事業は、明治の先人の知恵の結晶であり、国民共有の財産ということができると思います。
そのことを強く実感したのが、現場での経験でした。私は、今から10年以上前、奈良県の過疎地を抱える郵便局で働いたことがあります。そこでは、郵便配達の職員が、新聞の配達もすれば、貯金や保険の集金もする、また、ひとり暮らしのお年寄りに無事かどうか声かけをする、まさに郵便局が地域のライフラインでありました。

こうした郵便局の良さが、小泉・竹中改革により、まさに失われようとしています。例えば、①、郵便配達の職員は、会社が違うという理由で貯金や保険の集金ができません。②また、利益至上の経営を続ける会社にあって、郵便配達の途中でお年寄りに声かけをする余裕があるでしょうか。③郵便局が金融の代理店となった結果、膨大なマニュアルを押し付けられ、証券外務の資格の取得まで求められて廃業していく簡易郵便局があとをたたないとも伺います。④さらに、郵貯銀行・郵便保険会社の株式が処分されれば、地域で唯一の金融機関である郵便局が消えてしまう可能性もあります。現状は、当時の竹中郵政民営化担当大臣が、描いたバラ色の民営化とはほど遠いのです。

問 両大臣に伺います。小泉改革により郵政事業は良くなったのでしょうか。国民の利便性が高まったのでしょうか。民営化の評価・総括を伺います。

私は、郵政事業の民営化を否定しているわけではありません。真に国民の利便性が高まる良い民営化に改めなければならないと申し上げているのです。そうした観点から今回の凍結法案は改革の入り口といえます。現行法のとおり郵貯銀行・郵便保険会社の株式を処分すれば、3事業の一体性がさらに失われ、不採算の郵便局への金融サービスの委託が取りやめられて地域の郵便局経営が成り立たなくなる恐れがあります。また、同時に事実上担保されてきた、金融のユニバーサルサービスもなくなってしまいます。国有の金融機関があってはならないという市場原理主義にとらわれてはならないのです。株式の処分は直ちに見直さねばなりません。

問 地方では、農協が撤退し郵便局が唯一の金融機関である地域もあります。そこであらためて金融のユニバーサルサービスについてか亀井大臣に伺いたいのですが、先日閣議決定された「郵政改革の基本方針」の中に「郵便貯金・簡易生命保険の基本的なサービスについてのユニバーサルサービスを法的に担保できる措置を講じる」とあります。具体的にはどのような措置を考えておられるのでしょうか。3事業が引き続き資本関係を持ち続けるのは当然として、金融サービスにもユニバーサルサービスを課すということを法律に明記するということなのでしょうか。ぜひ、確認させて下さい。

問 同じく基本方針について亀井大臣に伺います。基本方針には、「銀行法、保険業法等に代わる新たな規制を検討する」とありますが、そもそも2・3人しかいない郵便局に都市銀行と同じ規制を課している現状が、現場の負担からいっても、お客様の利便性からみても、不適切ではないのでしょうか。規制は必要最小限にすべきと思いますがいかがでしょうか。

 郵政事業は、これまで独立採算でやってきました。公共的な仕事をしながら税金の補助を受けないというのは、大変な経営努力が必要です。現在の厳しい経済環境の下、独立採算を維持するには、民間会社として経営の自由度も認められねばなりません。民営化されているといっても、現在認められている業務は、公社時代とそれほど変ってはいないのです。改革に当たっては是非とも、経営が成り立つように、経営の自由度を、認める制度設計をお願い致します。

問 かんぽの宿等の施設の譲渡の凍結に関連して伺います。これらの施設については、現在、持ち株会社で暫定的に管理されていますが、しっかりと担当会社を決め経営責任を明確にして収益に貢献できるようにすべきではないでしょうか。亀井大臣に改革法案でどのように扱われるのか伺います。


郵政事業の経営主体は、この10年間、郵政省から郵政事業庁、日本郵政公社、民営化とその姿を変えてきました。これらの制度改正は、政治の都合で行われたものであり、決して国民の利便性を一番に考えたものではありませんでした。加えて現場の職員の負担はいかばかりだったでしょうか。今度こそ、真に国民の利便性に叶う、そして20年、30年変える必要のない制度を構築すべきです。今回の凍結法は、あくまで「当面の暫定的措置」です。基本方針を基にこれから作られる改革法は、国民の声、現場の声をしっかり聞き、良い民営化に向けて制度設計をして頂きたいと思います。

問 最後に、より良い民営化に向けて、改革法案への決意を両大臣に伺い、

私の質問を終わります。