尖閣諸島は、歴史的には、日本領であり、南西諸島の一部として認められてきました。今回の逮捕、そして起訴に向けた対応はなんら問題がないといえます。


「一八八五年以降政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行ない、単にこれが無人島であるのみならず、清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重確認の上、一八九五年一月十四日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行なって正式にわが国の領土に編入することとしたもの」(外務省ホームページ)であり、中国政府も、台湾政府も一九七〇年後半東シナ海大陸棚の石油開発の動きが表面化するまで、その領有権を問題とはしませんでした。


今回の事件は、我が国の覚悟が試されたものでした。領土問題は、国家の威信をかけた戦いです。フォークランド紛争など領土問題が武力衝突につながった例は多くあります。領土を守るということは、相当の覚悟がなければ、相手とわたりあえないということです。残念なのは、政府が、そうした認識をもってあらかじめどこで幕をひくのかを考えていなかった点です。


「海保関係者によると、尖閣諸島周辺では、中国国籍の漁船による違法操業が相次いでいる。海上保安庁は通常、両国間に摩擦を生まないよう、違法操業の漁船が停船命令や立ち入り調査を受け入れ、退去命令に従う場合は立件しないこともあるという。」(琉球新報)今回、現行犯ではなく逮捕までに十数時間を要しました。この間、対応を巡って政府内で協議が行われていたようです。既に日常的に領海が侵犯されていたわけですから今回の事件のような状況もあらかじめ想定して対応を準備しておくべきだったのではないでしょうか。


覚悟も準備もなしでは、この結果は必至でした。予算委員会での集中審議に出席しましたが、国益を守るための議論になっていなませんでした。これからできることは、①国際社会の理解を得るため事件のビデオを一般に公開すること、②次回同様の事件が起こった場合には国内法で逮捕・起訴に至ることをはっきりと宣言すること、ではないでしょうか。