白い薔薇(4) | 壱之宮ねこの嵐大スキブログ

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潤に恐れをなして、退散した少年達を冷たい眼差しで一瞥した後、潤は床に蹲る和也に手を差し延べました。
「大丈夫か?顔が真っ青だぞ?」
そんな潤の手を拒んではねのけようとする力ない和也の足掻きは抵抗のうちには入らず、小脇に抱えられるようにして医務室に運ばれてベッドに寝かされました。
深く深呼吸を繰り返し横たわっていると、薔薇を突き付けられてから断続的に込み上げていた吐き気もだいぶ治まってきました。
そこへ今し方姿を消していた潤が戻ってきて、冷たいミネラルウォーターのペットボトルを手渡されました。
「飲めよ」
「…優しくしたって、…何にもならないよ」どうしても素直になれず、無愛想な態度しかとれない和也の反論は力がありませんでした。でも潤は、
「そんな憎まれ口がきけるようなら、大丈夫だな」
そう言って和也に優しい微笑みを向けるのでした。
「…そんな優しい目で俺の事見るなよ」
そんな憎まれ口がこぼれそうになる和也の心情を察知して、潤は言いました。
「お前が俺の事疑ってて、嫌っている事もよく分かってるよ…でも俺はお前の事が大事だから、何度だって助ける。それが俺の正直な気持ちだ」
そう囁きかけ、和也の身体を抱き締めました。
「離せよっ…」
和也は渾身の力を込めて潤の抱擁から逃れようとしましたが、和也が押し退けようとする前に潤はあっさりとその手を離してしまいました。そして一言、
「俺はお前を諦めないからな」
そう言い残して立ち去るのでした。